第五章 StrikerS編
第百五十六話 『機動六課、出撃』
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Side ラン・ブルックランズ
………私は、今、なにをしているのだろう?
わずかに残る意識で隙間を縫う感じで外の光景を覗ける。
だが、ただそれだけだ。
私の体は、心は、自由に動いてくれない。
歯がゆい…。
シホさん、レン、みんな…。
みんなに私の不甲斐なさを謝りたい。
もっと、強く…。
あの魔術事件で家族を失ってしまい願った想い。
それをシホさんが叶えてくれた。
私は確かに強くなれたんだ、って実感も湧いてきていた。
でも、それは思い上がりだった。
あんな洗脳で私の意思は簡単に操られてしまう…。
今も頭になにかの電波が聞こえてきて今のこの僅かな意識もまるで湖の底に沈んでいくように暗くなってくる。
(挫折してはダメだ…!)
心が折れてしまったら私は完全に敵…トレディの操り人形になってしまう。
だから僅かな意識だけでも抗うんだ!
きっと、チャンスは来る。
その時まで完全に沈まないように頑張ろう。
それに予感がする…。
私の弟が、レンが私を助けてくれるかもしれないというそんな漠然とした想い。
いつまでもウジウジしていてシホさんや私の後ろにいつも引っ付いてきていた弱虫のレン。
でも機動六課に私とともに来て、強くなっていくにつれてそんな弱気な姿は減ってきていた。
だから期待しているんだ…。
きっと、弱さを克服してさらに先へと進むレンの姿を…。
だから、
(…待っている。待っているよ、レン。助けてくれることを、待っている…)
その一心を胸に秘めて私はまたこの電波に抗い続ける。
◆◇―――――――――◇◆
「………ランさん?」
トレディは隣でライディングボードに乗って飛行しているランの微妙な表情の変化に気づいた。
だがそれだけである。
「………気の、せいですね。………私のマインドハウリングは意思を断ちます。だってドクターがそう作ったのですから…」
でもと、思う。
私達戦闘機人とは違って人間の意思は時にして思いもよらない力を発揮するということを。
だからトレディはランの洗脳操作に使っている複数ある意識領域をさらに追加して洗脳を強化した。
それによってランの表情からはもうなにも感じられなくなった。
(………これ以上の洗脳はランさんの脳を壊しかねない。………だからこれが限界ですね。謝れる立場ではありませんが、すみません、ランさん…)
トレディがその表情に苦心を浮かべていると同じ地上本部班であるチンクが隣までやってきて話しかけてきた。
「どうした、トレディ? 表情が沈んでいるぞ。なにか悩み事があるのなら姉に相談してみろ」
「………いえ、ただ時にして人は計り知れない力を発揮するとドクターに話をされた事があるのです
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