従うモノ達の願いは
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に一万を超えるだろう! それでも、俺とお前らなら簡単に貫けるだろうよ!」
士気高く、行軍の速度を維持したまま徐晃隊は進んで行く。焦りは無く、全ての者が次の戦闘に意識を尖らせていった。
半刻程であろうか。漸く敵影が見え始め……相手はピタリと脚を止める。不審に思っていたが、遠目に行われる動作が見え、秋斗は面倒くさいというように少し眉を顰めた。
金色の鎧は日輪の光を反射し、見える全ての兵は弓に矢をつがえ始めていた。
徐晃隊にとって弓兵が一番の大敵であった。彼らの装備は中型の木盾と投槍、そして剣であり、遠距離からの攻撃に対してはどうしても手こずってしまう。
弓兵部隊対策の戦術演習は行っているが、個人部隊だけで弓部隊と相対するのはこれが初めてであり、迅速な行動はそれが生かせるかどうかに掛かってくる。
「敵の前衛は弓が主体の部隊だな。雛里は安全の為に副長と同じ馬に乗れ。第一の百番までは俺と共に最少蜂矢陣形で中央突撃して攪乱させよう」
「残りの部隊を四つに分けますね。左に二つ、右に二つ、敵が弓を向ける先をばらけさせ、薄い包囲を築きましょう。徐晃隊は少数戦闘が一番得意ですから小隊毎の判断に任せて弓兵の殲滅重視がいいかと。後方の指示は任せてください。秋斗さんが突撃後、全てを合わせます」
方針が決まり、雛里に頷き返した秋斗が先頭の徐晃隊に聞こえる程度の声を出す。
「第一の百は俺と共に突撃する。俺が貫いた先を最小蜂矢陣形で貫き、後に回りの敵を一掃しろ。ただし、防御主体戦術を行って一人でも多く生き残れ」
応、と重厚な声が響き、秋斗は月光の上で振り向いた。
すっと目を細めて敵を見据え、前に剣を示す。
副長の馬に乗り換えていた雛里は素早く他の徐晃隊を縦四つに分けていた。
「さあ、地獄を作ろうか! 俺達の前に立った事を後悔させてやれ! いつも通りだ、俺に続け!」
声を合図に秋斗と徐晃隊の百は駆けて行く。その背を見やりながら副長が厳めしい声を上げた。
「御大将を守るのは俺達の仕事だ! 黒き麒麟となって全てを切り裂こうや! 行くぜ! 乱世に華をっ!」
『世に平穏をっ!』
地を轟かすかのような声が前方に届いたのか、それとも秋斗の突撃が思いの外早かったのか、敵は焦りから矢をばらばらと徐晃隊に向けて放ち始めた。
舌戦をするでなく、開かれた戦端は矢唸りから。
五つに分かれた部隊には面照射は出来ず、黒麒麟に放たれる矢は悉く正面で撃ち落とされ、徐晃隊に放たれた矢は盾の組み合わせの連携によってほぼ全てが防がれていく。
一本程度では怯むに及ばず、二本程度では生ぬるい。例えその身に刺さろうと、化け物兵を止めるに値せず。
蠢く徐晃隊はにわか雨のように矢が降り注ぐ戦場にて、血の華を咲かせて紅い道を作り出
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