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乱世の確率事象改変
従うモノ達の願いは
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例えこの身が朽ち果てようと、自分達に誰かを救わせてくれ……と。
 この時代では、命を賭けて多くを救いたい想いはある種の『誇り』と言えるだろう。
 秋斗はその最たるモノ、指標となっている。それになりたい副長が続けば、彼らはそうあれかしと願い始める。自分の手で誰か多くを救いたいと言う願いが連鎖していく。
 彼らが命を捨てるのは死にたいからでは無く、生きたいからでもあった。想いを繋ぐというのは本当の最後だけ。最後まで生にしがみ付いて、命を散らす最期にだけ彼を悲しませない為に、そして守る為に生き切った充足感から笑みを携えて、黒麒麟に想いの華を預けて行く。
 死ぬことは怖い……だが、誰かを守れないのはもっと嫌だ。そんなわがままで傲慢なバカ共。
 そうやって彼らは化け物となった。副長が居なければ、こんな化け物部隊を作る事は叶わなかったであろう。全ては秋斗から始まった……しかし数奇な巡り合わせで出会えたから、彼らは黒麒麟となれたのだ。
 効率を重視するのは秋斗が多くを守る為の最善を選択しているという信頼から。最後に作り出してくれる平穏な世界を願って、彼らが戦って死ぬ事によって未来に生きる子供達を守れると知っているから。
 その副長と徐晃隊員達は今回、秋斗から特別命令を受けた。

「徐晃隊全てのバカ共に告ぐ! 俺は一人残ろうとも泥を啜って生き残る事も出来るが……雛里は不可能だ! 雛里だけは必ず本隊まで送り届けろ! 例え何があってもだ!」

 普段通りに、彼はいつでも最悪の場合を想定して命令を下す。徐晃隊にとって、事前に与えられたそれを守る事こそが重要となる。
 頭脳明晰にして美しく、愛らしい少女を守れるのだと、徐晃隊は歓喜に震える。
 しかしながら今回は違った。大きく守りたい理由が追加されている。
 漸く報われた少女の恋を終わらせない為に、己が御大将が先の世界で幸せに暮らせる為に。
 彼らが一番守りたいのは……己が家族を除けば、秋斗と雛里の二人であった。平穏な世界を作り出してくれるのはこの二人だと信じていた。
 徐晃隊にとって秋斗は王、そして雛里はその軍師。他の部隊には誰も口を滑らせないが、それは共通認識として居座っている。
 恋が実ったのなら、王に妃が出来るという事だ。それを守るは臣下として誉れ以外の何物でもない。
 優しく弱いその王が、悠久の平穏を作り出す為には雛里が居なければならないのだと、彼らは意識を高めて行く。
 彼らは他にも示された事に気付いていた。
 自身にとって大切な存在の生命を預けてくれているのだと。鳳凰ならば、治世に於いて幾万幾億の人を救う事が出来るのも事実。
 そして、彼が直接守らないのは、自分達を一人でも多く救う為に、血みどろになってその武を振るう為だと。

 何故、急にこのような命を与えたのか。それは齎
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