七十一 月の砂漠
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く詰責してみせた。
「御挨拶だな。呼び出したのはそちらだろう。しかも『マダラ』の名を使ってまで…」
「…――なに?」
ふっと相手の声音が低くなる。不穏な空気を怪訝に感じ、「ゼツに「マダラが呼んでいる」と言われたのだが…」とナルトは言葉を続けた。
その発言は寝耳に水だったらしく、仮面の奥で男が顔を顰めた気配がした。
「…俺は『暁』としてお前を呼んだ。それはゼツの独断だ」
「…―――そうか」
「すまない。よく言い聞かせておく」
相手の謝罪を受けたナルトの瞳が森の一部を捉える。視線の先にある木に潜むソレが動揺するのを敏感にも感じ取ってから、彼はわざと話題を変えた。
「それで…経緯は何だ?」
仮面の男から、イタチの裏切りについての詳細を聞いたナルトは心中穏やかではなかった。イタチらしからぬ行動に内心深い憂いを覚える。
「預かり物だ」
イタチの行く末を想い、憂愁に閉ざされるナルトの心情など露知らず、仮面の男はおもむろに自らが身に包む物と同じ物を取り出した。
暗がりから投げて寄越されたそれは、風に乗ってナルトの許へ届く。ふわりと頭上に降りてきたそれを目にしてナルトの顔が秘かに顰められた。「…まだ持っていたのか」と渋々ながら受け取る。
「当然だ。俺とお前は同志だからな」
「……確かに同士ではあるがな…」
仮面の男とは別の意味で答え、意味深な一言を残す。だがナルトがそれを受け取った事を仮面の男は了承と判断した。
満足げに頷く相手を尻目にナルトが踵を返す。未だそれを身につけずに森から離れゆく彼の背に向かって、仮面の男は今一度訊ねた。
「任せていいんだな?」
洞窟において、ナルトがペインを始め『暁』全員に告げた言葉。その宣言に嘘偽りが無いか、重ねて問う仮面の男に、ナルトは肩越しに振り返った。「くどい」と一蹴する。
そうして再度一言告げると、彼は月光が注ぐ砂漠に足を踏み入れた。
仮面の男が見守る中、ナルトの白き羽織がはためく。刹那、吹き荒れる砂嵐。
視界を遮る砂塵の合間で、白が黒に変わる。黒地に、赤き雲。
『暁』の証たる外套を身につける。肩に軽く羽織ったそれは砂漠と森の如く、明暗を分けていた。白き羽織の上、黒き『暁』の外套を背にしたナルトの姿が夜に紛れる。
月下の砂漠にて、交互に翻る黒白の衣。
その後ろ姿を仮面の男は暫しじっと見つめていたが、やがて傍らの木に声を掛けた。その声は硬い。
「なぜ『マダラ』の名でアイツを呼んだ?」
「だ、だって…」
逡巡し、戸惑う声が木から聞こえる。尻込みしているのか怯えが雑じるゼツに構わず、仮面の男は叱責した。
「以前も独断で監視していただろう。勝手な
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