合宿編
十一話
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た。力を押し通す様は、剛通拳とよく似ていたのだ。
アインハルトは反射的に横を向いた。
「なして俺の方を見るのかね?」
「あ、いえ、その……」
ついアレクの方を向いてしまった理由は、拳を向けた本人であり、動作の一部始終を見て、受けた衝撃を知っているからである。
だが今更、貫かれるような衝撃はあったか、なんて受けた感想を求めるのは酷かもしれない。
「気になるなら、試しにやってみたら?」
「……はい、そうですね」
確かに、とアインハルトは上がってきたルーテシアに促され、入れ替わる形で川に入って行った。
そして、拳を突出し水柱を上げるが、ヴィヴィオ達とは違い壁のような上がり方。水中に居る為、満足に踏み込みが出来ない結果だった。
なるほど、断空の変形だったのか、と違いを看破したノーヴェはパーカーを脱ぎ、水斬りとの違いを教えに行った。
「お、ノーヴェのコーチ魂に火が点いた」
「んじゃぁ、これであいつもヴィヴィお嬢達の仲間入りって事ですな」
「アインハルトは押しに弱そうだし……決定で間違い無いですな」
良い事ですな、そうですな、と頷き合っているとノーヴェの模範が行われた。
拳でなく蹴りだったが、起こる現象は変わらない。川底から上へと綺麗に割れた水柱が立ち上がった。
その後、次々と上がる水柱。主にアインハルトと、触発されたヴィヴィオが行っている。水遊びの筈が何時の間にかトレーニング風景に変わっていた。
暫く見入っていたルーテシアが思い出したようにアレクに訊く。
「アレクは混ざんなくていいの?」
「ん〜……。タイプが違い過ぎるしなぁ……」
目の前で振るわれている拳は、全身を巧く使い衝撃を拳打で飛ばす柔の技。
だがアレクの拳は剛。身体はカタパルトで、拳や蹴りは発射される弾丸。更に覇気を纏わせ撃ち砕く、相手を破壊する拳。根本的な部分から違う。
見る、参考にする、というだけならまだしも、トレーニング中では異物を混ぜるようなもの。拳が完成してない中は刺激しない方が良い。
ただアレクは説明するのが面倒だったので、端的に予想結果だけ言った。
「混ざったら……豪快爆発でレッドカード通告ですな」
「それはダメですな」
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