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覇王と修羅王
合宿編
十一話
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此方に万全の状態。完璧な勝利である。
 岸まで戻り、拳を天に向けて突き上げる。

「これぞ無双奥義!」
「……これが、奥義なんて、訳ないでしょう」

 生き抜いて岸まで辿り着いたアインハルトが、グッタリしながらも確りと否定した。


◆ ◇ ◆


「解せぬ」
「あたしはお前の頭が解せないよ」

 川瀬の岩に腰掛け首を捻るアレクに、ノーヴェは頭痛を抑えるようにしてツッコむ。
 何故レッドカードをくらって退場させられた理由が解らないのか。遊びに戦闘思考で挑むなんて以ての外だ。挑発したルーテシアも悪いが、アレクは限度を明らかに超えている。
 一応、何が悪かったか考えているようなので放っておいている。ただ、参考になりそうな目の前の遊びを全く見ていないので、正解には程遠いだろうが。

「クリスよ、お主はどう思う? ……ふむ、一撃じゃなくて何発も続かないと奥義じゃない、か?」
「……遊びは勝負や喧嘩と別ものです、だ」

 クリスは何度か手を突き出して否定するように腕を振ったのだが、アレクはまた読み取れなかったようだ。相変わらず意思疎通が出来てない。
 と言うか、全く関係無い事を考えたいやがった。

「アレク、とりあえず奥義から離れろ。ティアナに報告するぞ」
「へ〜い。……お? どうやらお一人様ご帰還なようで」
「ん? ……アインハルトか。アレク、タオルと飲み物」
「合点承知」

 ノーヴェは少し覚束ない足取りで歩いてくるアインハルトを座らせ、アレクが持ってきたタオルと温かい飲み物を渡す。
 アインハルトの様子は見た感じ、普段とは違う形で筋力を使用した消耗。だが、身体を冷やさなければすぐに回復するだろう。

「どうだ? 普段と違う筋力使ったから中々ハードだっただろ?」
「……はい。ヴィヴィオさん達は何時もこのような事を?」
「だいたい週二回くらいか。水圧ってのは結構良いトレーニング材料だからな、遊ばせながらやれせてる。何か為になってくれればいいけどな」
「いえ、貴重な体験でした……」

 アインハルトはヴィヴィオを見ながら、手合わせした時を思い出した。
 試合時ヴィヴィオはどれだけ打たれても引く事はせず、後半に成るに連れ、粘り強く成って行く感じがした。あれは体力だけではなく、良質な筋肉の賜物だったのだろう。加えて柔らかな筋肉はバネにも成り、壊れ難く成る。
 アインハルトは飲み物を一口通し、感嘆の息を吐く。

「……そうだ、面白いもんを見せてやろう。ヴィヴィオ、リオ、コロナ、水斬りをやってみせてくれ!」
『はーい!』
「水斬り……!?」

 ヴィヴィオ達の十分に力の乗った拳が水面を斬り、水柱を上げる。
 疑問を浮かべるアインハルトだったが、打ち出す拳の動作、起こる現象に目を見開い
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