合宿編
十一話
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アレクは何でも無さ気に目を逸らすが、アインハルトには何とも言い難い怒りが沸き起こる。ただ、ティアナの言った事が真実味を帯びてきたので、追及する事は出来なかったが。
「で、何すんの?」
「じゃあ、競争しましょう!」
「へ〜いへい」
合流するとヴィヴィオがテンション高く向こう岸を指さして言うが、アレクは全くやる気が出ない。
適当に付いて行けばいいか、と思っていると、小悪魔が近寄ってきた。
「ねえねえ、折角だから勝敗に色付けしない?」
「例えば?」
「そおねぇ。私が勝ったら……アレクとアインハルトの関係とか馴れ初めとか、事細かに訊きたいかなぁ〜? 勿論、拒否権無しで」
「……乗った。俺が勝ったら、悪巧みしてごめんなさいと床に頭を擦り付けて謝ってもらおうか」
「おっけぃ。あ、魔法は無しだよ」
「おう、魔法は使わん。というか必要ねえ」
フフフ……、と不敵に笑い合う二人に、周囲も乗った。
「あ、あたしもアレクさんとスパーとかしたい!」
「リオずる〜い。じゃあわたしも!」
「私も!」
「……では、私は試合形式で」
「……は?」
何時の間に、全員との賭け事に成ったのだろうか。アレクは周りを見渡した後、ルーテシアに視線を戻すと……ニヤリと嫌な笑みが映った。
「勝てばいいのよ。まあ勝てれば、の話だけどね?」
「……はは、ふははははは。吠え面掻かせてやろうじゃねえか!」
ルーテシアの挑発に、アレクの負けん気が迸る。
もう一切の手加減はしない。禁止されたのは魔法だけだ。要は、魔法だけ使わなければいいのだ。
「よーい……ドンッ!」
合図と共に一斉に泳ぎだす中、アレクだけはその場に留まった。
何か耐えるような溜めるような格好に、後ろを見て訝しげる面々の中で、アレクを一番知るアインハルトだけは何をしようとしてるのか予想出来た。
ソレは、魔法で無い事は確かだが、使って良いのだろうか? ……いや、ダメだろう。
「アレクさん、覇――」
「覇気ブースター点火!!」
『きゃああああっ!?』
アインハルトの声を切り、アレクは足裏より覇気噴射。可笑しい速度でスタートを切る。
途中、津波の様な被害を出して向こう岸へ飛んで行くがアレクは気にしない。気にするのはすぐ其処まで迫った向こう岸。
此の儘では人身事故確定だが、止まれば負けだ。
両拳組み、突き出し、そこからフィールドのように覇気を纏う。ついでにドリルのように捻じり、岸に突貫。
「覇気よ、我が身を護れ!」
飛び出した勢いは早々に切れず、ガリガリと大地を大分削って漸く止まるが、損傷無し。
立ち上がり振り返るが、岸に辿り着いた者は居ない。
今回も勝った。なんか水死体っぽく浮いてるのが居るが、
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