伍_週刊三途之川
二話
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というわけで、みなさんお馴染みの小判でい。
今日、ようやく狙っていた獲物に接触できた訳ニャんだが、思っていたよりしっかりした奴で、そこが微妙に計算違いだった。雰囲気で、ちょっとヌケた奴かと。
臨死体験中の、しかもこの閻魔庁に勤め始めた人間のことを記事にすれば、報道部のすかした連中にも一泡ふかせられると思ったのによう。
てな感じで、ここ何日かこいつを陰で張り込んでたのはいいが、わっちの苦手なあの鬼灯がいっつもそばにおるもんで近付こうにも近付けんかった。
あいつに気付かれると、また胃に穴が開いちまう。
何とか上手いこと丸め込んでインタビューせな。
「ほんと、頼みます。あんたのそのハイカラなご面相なら、ひょっとすると芸能事務所からオファーが来るかも知れやせんぜ?タレントデビューでさ。憧れるっしょ?」
こういうちょっと化粧を頑張ってる女は、どこかしらそういう華やかな世界が好きさね。
ここは褒めてちぎって、ちぎって褒めて。そうすりゃきっと乗ってくる。
「いや、どうせやったら地獄じゃなくて現世で有名人になりたいわ」
うっ、なかなか鋭いツッコミを入れてくらあ。
これが関西とかいう地域の人間か。なかなか手強いかも知れん。
「いいじゃニャいっすかあ、割と好きでしょ、ここの生活も」
「それは否定はせえへんけどさあ。というかそれ以前に、話すこと何もないし」
「そんな難しいことは聞きやせん。ちょっと質問させてもらって、あと写真を」
なあなあなあ、頼むぜ小娘。
わっちはあんたを出汁にしてついでに鬼灯のプライベート情報もちょうだいしたい次第だ。
こりゃあもう、一石二鳥、特大見出しさね。見てろよ、報道部。
「いや、やっぱり鬼灯さんに相談する!社会人たるもの、報告、連絡、相談やからさ。それに勝手なことすると怖いし・・・・・・」
「怖いか。あんたの気持ちはよくわかるぜ。でもよお!」
「・・・・・・遅いと思って来てみれば」
「あっ、鬼灯さん」
「ゲッ!!ほ、鬼灯の旦那・・・・・・」
畜生、この小娘がちんたらしてやがるから、バレちまったじゃねえか。
鬼灯はわっちのことを恐ろしい顔で見下ろしてやがる。危うく吐血しそうだ。
「あなた、性懲りもなくわたしの周りをウロウロしているみたいですね」
「い、いや、今回はこの娘のインタビューでさ。珍しいでしょ、だって」
「どうせ、彼女から上手いこといろいろ聞き出してわたしのことも記事にして、一石二鳥、特大見出し、報道部の連中め見てろよ、とこういう次第でしょう」
わっちがこの男に勝てる日は来ない。そう痛感したぜ。
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