第四幕その十
[8]前話 [2]次話
「そうね」
「それじゃあ本当にね」
「結婚だね」
「日本の女の人とね」
「いるかな、僕に」
「いるよ」
一言での返答でした、このことについては。
「絶対にね」
「本当に?」
「だって先生凄くいい人だからね」
「外見はこんなのでもなんだ」
お顔は野暮ったくて身体は丸々と太っています、背は高いのですがそれでもお世辞にもハンサムではありません。
けれどです、王子はその辺りは気にしなくていいというのです。
「そんなの平気だよ」
「本当に?」
「先生に足りないのは世間への知識だよ」
「世間のことに疎いのは自覚してるよ」
だからイギリスではいつもお金に困っていたのです、それで色々と動物達の助けを借りて暮らしていたのです。
「何かとね」
「そうだね、けれどね」
「僕はそれだけなんだね」
「先生みたいないい人は滅多にいないよ」
このこともその通りです、先生は公平で偏見がありません。しかも誰に対しても謙虚で紳士的に振る舞います。尚且つ無欲で人に怒ることも不平を言うこともありません。こうした人は実はかなり少ないのです。
だからです、王子はこう言うのです。
「しかもお仕事もあるじゃない」
「大学教授だね」
「そう、だったら絶対に誰かいい人が来てくれるよ」
相手の方からというのです。
「間違いなくね」
「だといいけれどね」
「そうなるから。安心していいよ」
「結婚ねえ」
「本当に考えた方がいいよ」
王子はとても親身に先生に言います、それはお友達としての切実な言葉です。
「さもないと一生独身だよ」
「そのつもりもあまりないけれど」
「だったらね」
「結婚だね」
「そう、相手を見付けるべきだよ」
若しくは来てくれた相手に声をかけてだというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ