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打球は快音響かせて
高校2年
第十四話 デビュー戦
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第十四話


だんだんと暖かくなってきた時期。
昼は半袖でも十分イケるが、夜はまだ少しだけ寒いかもしれない、そんな微妙な季節。
空は快晴。土は良い具合に乾いている。

「1番、ショート枡田」
「いぃよっしゃぁぁあーーー!」

ベンチ前に組まれた円陣で浅海がオーダーを読み上げ、名前を呼ばれた選手は大声で返事をする。枡田は常に大声である。

「9番、ピッチャー好村」
「はい!」

ついにこの日がやってきた。
今日は、Bチームの初試合である。




ーーーーーーーーーーーーーーー



(……2年の春でやっと初登板か)

翼は先発のマウンドの足場をならしながら、ホームベース方向を見やる。捕手の見え方、距離感はブルペン投球や、バッティングピッチャーの時と変わらない。そもそもここは、慣れ親しんだホームグランドである。ピッチャーを務める機会も、中学生の頃から数え切れないほどあった。
ただ、草野球をしていた頃の気楽さなどは無かった。翼の顔も口元がピッと引き締まっている。

投球練習をこなす。ストライクはちゃんと入る。
よし、大丈夫。
後輩の捕手が最後の一球をセカンドに送り、内野にボールが回される。
翼のデビュー戦が始まった。

キン!
(ほえっ?)

相手の先頭打者は初球を打ってきた。
翼から見て右側にゴロが飛ぶ。
反応が良ければ翼が捕れたゴロだが、翼は不意を突かれて固まってしまい、そのゴロをスルーした。

「よっしゃぁーー!」

しかし、投手をすり抜けてセンターへと転がっていこうとするゴロにショートの枡田が追いつく。
腕を伸ばしてゴロをすくい、細かくステップを踏んで一塁に送球。矢のような送球が一塁に達し、先頭打者をアウトにとる。

「……ふぅ」

翼はひとまずワンアウトがとれた事に安堵する。
ショートの枡田はニヤニヤ笑っていた。

「ヨッシー今の捕れたんちゃうん?え?もしかして緊張してんの?」
「そっそんな訳ないだろ!たかが練習試合で!」
「ふ〜ん?」

翼は図星を突かれて赤面した。
緊張が一言でフッと吹き飛んだ。

カーン!
「オーライ」

2番打者の打球は内野フライ。
セカンドがガッチリ捕球し、ツーアウトになる。

(…大丈夫だな。そんなに簡単には、打たれない)

翼は打者2人を抑えて自信をつけた。
長打警戒のシフトをバックにつけて、更に投球に思い切りが出る。

大きく背筋を伸ばして振りかぶり、右足を高く跳ね上げる。その足の動きの躍動感を保ちながら一気にステップアウトし、テークバックで巻き上げた細い腕を振り抜く。軸足はプレートを蹴らないが、それでも腕の振りの反動で体は三塁側に流れていた。腕が振れていた。

リリースの瞬間、
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