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駄目親父としっかり娘の珍道中
第55話 幾ら時が経とうと会いたくない奴に会うとテンションが下がる
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まれた人間にその力は使えない筈ですの! その力を使えると言う事は、紛れも無く貴方はあちら側の人間ですの!」
「あちら側? 何それ! あちら側とか、此処の人間じゃないとか、言ってる事がちんぷんかんぷんで訳が分からないよ!」

 くりんちゃんの言っている事がなのはにはさっぱり理解出来なかった。寧ろ意味不明な単語が頭の中に入っていく度に頭の中で暴れ回る感覚を覚える。激しい頭痛を覚えた。

「なのは、聞くな! からくりの戯言なんざ一々耳にしてたらキリがねぇぞ!」
「お父さん、私って、一体何なの? 私は何処で生まれたの? 何で、私はこんな力が使えるの? ねぇ、何で?」
「そ、それは……」

 銀時は答えられなかった。答える訳にはいかなかった。なのはが海鳴市、即ち魔法が使える世界の人間であると言う事を、そして江戸が全く別の世界であると言う事を、銀時は言う事が出来なかった。言えば全てを思い出してしまうかも知れない。
 そうなれば、なのはは狙われてしまう。それを避けたかったのだ。

「あれだけの力を持ちながら自分の意思で制御する事も抑制する事も出来ない。貴方みたいな子は世間ではこう呼ばれているのですよ」
「止めろ! それ以上余計な事を吹き込むな!」
「貴方は、【悪魔】そのものです」
「止めろって言ってんのが聞こえねぇのかぁ!」

 くりんちゃんに向い銀時は突進した。猛然と木刀を振るいそれ以上言葉を発せさせないようにと。
 しかし、その一撃はくりんちゃんには届かなかった。彼女の顔面に届くよりも前に分厚い結界が張られ、木刀の一撃は弾かれてしまったのだ。

「ぐっ、まさかこんな奴まで使えるのかよ?」
「でも、何で? 確かこの世界じゃ魔法が使えなくなる筈じゃないんですか?」
「知るか! どうなってんだよこいつ等。まるでインチキじゃねぇか!」

 愚痴る銀時と慌てる新八。そんな二人の前に立つくりんちゃん。

「魔法が使えないのは貴方達が人間だからですの。世界の理を受けるのはあくまでその世界で生まれた者に課せられる言わば枷ですの。でも、無から作られた私達からくりにはその枷はありません! 故に、この世界でも私達はその力を使う事が出来るんですのぉ!」

 突如として、くりんちゃんの体が宙に浮いた。魔力弾やバインドだけでなく、飛行魔法まで使う事が出来るようだ。

「野郎!」
「貴方達に勝ち目はありませんわ。例えこの世界が貴方達の世界であったとしても、この力を破る術を貴方達は持っていませんもの」
「悪いなぁ、そう言う輩となら嫌と言う程経験してんだよぉ!」

 飛んでいるとは言え、まだ木刀の届く範囲に敵は居る。銀時はジャンプし、木刀を上から下に向い振り下ろした。木刀とモップが互いにぶつかり合い火花を散らす。
 互いに一旦後方へ
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