第55話 幾ら時が経とうと会いたくない奴に会うとテンションが下がる
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「おいおい、もしかしてあのメイドさんSっ気でもあんのか? 悪いけど俺も実はSだから。縛られても感じられないんだよ俺」
「お父さん、Sって何? 磁石のS極の事?」
「お前が知るには後10年経ってからな。とにかく俺は縛られるより縛る方が好きなの! だからこれを早く解いてくんない? さっきから食い込んでてめっちゃくちゃ痛いんだけどぉ!」
必死に拘束から逃れようともがくが、銀時達を絡めていたそれはかなりの強度を誇っているらしく千切れる様子を見せない。そんな銀時達に向かいゆっくりとくりんちゃんが近づいてきていた。
「ご安心下さい。そのホクロビームを渡して下されば何も致しません。こちらでそれを処分するだけですの。でも、渡してくれないと言うのならば―――」
言葉を途中で切り上げてくりんちゃんは立ち止まった。それを皮切りにするかの様に銀時達の回りを取り囲むかの様に夥しい数のメイドが姿を現す。皆どれも死んだような目をしている。薄気味悪いメイド達だった。
「貴方達を処分しますですの」
「おいおい、一体何のプレイだぁこりゃぁ? メイドさんプレイか何か? 悪いけど俺制服って言ったらどっちかって言うとナース服の方が好みだからさぁ、悪いけどメイド服ってあんまり好きじゃないんだわ」
「さ、大人しくホクロビームをお渡し下さい」
銀時の言葉などガン無視し、ズンズンとくりんちゃんは近づいてくる。
「教えて下さい。何故貴方達は私を付け狙うんですか?」
「何を言っているんですの? 貴方が林博士から奪った【アレ】を何処に隠したんですの? 早く私達に渡すんですの!」
アレ? アレとは何だろうか。良くは分からないが、どうやらそれを求めて奴等は血眼になってたまを追い駆けていたようだ。
「アレとは何ですか? ねこのかりんとうですか?」
「惚けても無駄ですの。貴方はアレを手に入れる為に私達の産みの親である林博士を手に掛けたんですの。ですが、アレは貴方みたいな旧式では意味を成しませんですの。宝の持ち腐れですの!」
淡々と語るくりんちゃん。だが、その口調には何処と無く高揚している様にも感じられた。
「アレは、あの人が持っててこそ意味を成す物ですの。それを手にした時、私達からくりは神にも等しい存在になれるんですの!」
「何を言っているのですか? 私にはさっぱり―――」
言葉の途中で、たまは口を閉じた。
突如、彼女の脳内に映像が流れてきた。それは一人の年老いた老人が悲しげにただ同じ言葉を呟いている映像だった。その老人の目の前には一人の女性が横たわっている。顔に布が被せられていると言う事は彼女は既にこの世に居ない存在だと言う事が伺える。
そんな彼女の横で小さく座っている老人。背後から照らす西日が老人の体を照らし、
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