第55話 幾ら時が経とうと会いたくない奴に会うとテンションが下がる
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を放った。何時になくシリアスな声色だったが為に新八も神楽も黙って銀時を見た。
「良いか、例え今がシリアスパートだとしてもさりげなくギャグを入れる。それこそが銀魂クオリティなんだよ! 例え殺人事件が目の前で起こったとしてもそれを見て【あれ、これケチャップなんじゃね?】とかって言う感じにさりげないギャグを織り交ぜる。これぞ銀魂クオリティなんだよぉ!」
「どんなクオリティだそりゃぁ!」
結局銀時の言い分も滅茶苦茶だった。深い溜息を吐きながら新八はふと、聞き慣れない音を感じ取った。背後から何かが高速で近づいてくる音がする。
物凄い勢いで走っているような音と、何かが音を立てて壊れる音。その両方が絶妙なバランスで音を奏で合い新八の耳に届いていた。
「な、何の音だ……」
恐る恐る振り返った新八は世にも奇妙な光景を目の当たりにした。なんと、其処には屋根の上を伝って高速で走ってこちらに迫ってくるメイドが居たのだ。
ピンクの長い髪を靡かせるその風貌は可愛らしいメイドそのものだが、目には一切生気を感じられない。笑顔を振りまいているがやってる事は残虐な破壊活動にも匹敵している。
「ぎ、銀さんんんんん! メイドが、メイドがこっちにぃぃぃ!」
「落ち着け新八! とりあえず右手に【メイド】って書いて呑め! そうすりゃ落ち着くから!」
「本番前の芸人かぁそりゃぁ! 第一そんな事したって目の前の現実はなくならないんだよ! 現実を直視しろぉ現実をぉ!」
新八にせっつかれた銀時は仕方なくサイドに取り付けられているミラーで後ろを確認する。確かに其処には屋根伝いに高速で走るメイドの姿があった。それも徐々に近づいてきている。
「お父さん、メイドだよ! メイドが凄い勢いで走ってくるよぉ! 瓦いっぱい壊して追い駆けて来るよぉ!」
「ちっ、あんな走り方じゃナ○トの世界でやっていけねぇぞぉ! 下忍試験ですら落とされるんじゃねぇのかあのメイド」
「大丈夫だよ! 瓦がない家なら音が出ないから」
と、なのはが指を立てて進言する。
「そう言う問題じゃねぇだろうが!」
あっさり切り捨てられてしまったのだが。
「おい、たま! 何だあいつは? あいつお前の事追っ掛けてんじゃねぇのか?」
答えを求める為にあのメイドに一番近しいと思われるたまに質問を投げ掛けてみた。が、たまは目を瞑っていた。銀時の問いに一言も答えようとはしていない。
「おい、どうしたんだよ? 何か言えよコノヤロー!」
「返事がない。ただの屍のようだ」
淡々とたまがそう言っていた。どうやら自ら屍を演じようとしているようだ。
「そんなぁ、たまさん死んじゃったのぉ!?」
「一々騙されてるんじゃねぇよクソガキ! どんだけ純情なんだよてめぇは!」
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