紅蓮色の戦慄
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
豪邸があった。
ハートフィリア邸と同じくらいかそれ以上の大きさの豪邸が、青い瞳に映っている。
視界を広くするように帽子を上へと上げ、アイスブルーのショルダーバックをぎゅっと掴む。
ネコを思わせる、大きくてつり気味の目が睨むように細くなった。
「・・・お祖母様」
独り言のように呟く。
(―――――戦ってみせる、どんな手を使ってでも)
自分の中の戦闘意志を確認して、ティアは1歩踏み出す。
もう、後には戻れない。
否、戻るつもりなんて毛頭ない。
何を犠牲にしてでも戦う覚悟があるから、彼女は今ここにいる。
「変なの」
ふと足を止め、呟いた。
(孤独には慣れてるし、好きなのに)
チーム結成時は単独行動が出来なくなるという事に湯気を発するまでに苛立った。
孤独が好きで、誰とも関わらずに生きていけるなら間違いなくそっちを選ぶ。
気高き誇りの一匹狼―――――ミスコンでつけられたキャッチコピーは自分に合っていると思っていた。
なのに、何かが足りない。
何か忘れ物をしてきた訳ではなく、何か心残りがある訳でもなく。
「・・・ま、いいか」
ティアは考えるのを止めた。
何が足りなかろうが、戦う事に変わりないんだから。
気のせいだと結論付け、ティアは屋敷へと向かう。
――――――ギルドで、もう1つの問題が起きているとも知らずに。
「久しぶりだね・・・アルカンジュ」
目の前に立つカトレーンの使い――――闇ギルド『血塗れの欲望』ギルドマスター直属部隊、暗黒の蝶のリーダーである男は、どこか嬉しそうに微笑んだ。
「くだらねー事やってんじゃねぇよ――――――――親父」
それに対し、呆れたようにアルカは答えた。
声から大きな感情は感じられないが、その表情は怒りと苛立ちに染まっている。
立った青筋とギラギラ輝く目が感情を剥き出しにしていた。
「え?」
「親・・・父?」
「つー事は・・・」
「アルカの・・・お父さん!?」
まさかの状況に戸惑いと驚愕を隠せないギルドメンバー達。
ルーは目を見開き、信じられない物を映すかのように瞳を揺らす。
リーダーは芝居がかった仕草でお辞儀をした。
「自己紹介がまだだったね、私はエスト・イレイザー。いつも息子がお世話になってます」
リーダー『エスト』はそう言うと、微笑む。
微笑みもアルカそっくりだ。
「・・・親じゃねぇよ、こんな奴」
その戸惑いの空気を一気に消し去るように、アルカが呟いた。
ただでさえ鋭い目に鋭い光を宿す。
ガシガシと髪を掻き毟るアルカに、エストは笑み
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ