紅蓮色の戦慄
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いた掌を、握りしめる。
誰にでも出来るような動き。
それだけで、パラゴーネはエルザの持つ魔法剣をぐにゃりと曲げた。
「私は天秤宮のパラゴーネ・・・重力を形作る魔導士。天秤宮を名乗っておきながら、重力で剣1本曲げられないなんて・・・おかしいでしょ」
折り畳むように魔法剣を曲げ、パラゴーネはエルザから距離を取る。
すると、周囲をゆっくりと見回していたエストが口を開いた。
「・・・どうやら、ティア嬢がいないというのは本当のようだよ」
「え?」
「統帥?」
「彼女の気配や魔力を一切感じない・・・今の今まで気づかなかったけどね」
困ったようにエストは笑う。
キャトルとパラゴーネは顔を見合わせ、小さく肩を竦めた。
「まぁ、いないのなら仕方がない。シャロン様にもそう報告するか・・・引き上げるよ、2人共」
「承知」
「了解」
エストが赤い髪を、キャトルが焦げ茶色の髪を、パラゴーネが淡い桃色の髪を風に靡かせ、くるりと背を向ける。
そのまま3人が立ち去ろうとした――――――その時だった。
「待て貴様等・・・どこに帰るつもりだ?」
『!』
その声に込められているのは、圧倒的な威圧感。
威圧感の中の静かな怒りに、3人の足は自然と止まった。
振り返ると―――――そこには、怒りを表情に浮かべたマカロフの姿。
「うちのガキにこれだけ手ェ出しといて・・・無傷で帰れると思うなよ、貴様等ぁ・・・」
その体から放たれる殺気は、ティアが放つものとは比べ物にならないほどに強かった。
ティアの放つ殺気が可愛く見えるほどに。
そんなマカロフの後ろに立つのは、ナツやグレイ、エルザを筆頭としたギルドメンバー達。
全員の表情は怒りそのもの、怒気が放たれていた。
姉の死の真相を知って力の抜けていたアルカも、早くも復活している。
「マスターマカロフ、私達だって大事にしたくないんですよ。シグリットだってティア嬢を連れて来るだけでいいと言っている。別にギルド同士で抗争しようなんて、幽鬼の支配者みたいな真似はしませんよ。キャトルもパラゴーネも牽制程度の攻撃しかしていない・・・見逃しても問題ないと思いますけどね」
だが、エストは笑みを崩さない。
どこまでも楽しそうで嬉しそうな笑みを浮かべたままだ。
「牽制だぁ?これのどこが牽制じゃ。牽制なら、威力増幅は必要ねぇんじゃねぇのか?」
マカロフは怒りを放ったまま告げる。
エストはやはり優雅な笑みを浮かべたまま、答えた。
「その点に関しては謝罪しますよ、マスターマカロフ。キャトルは戦闘系ですからね。手加減を知らないんで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ