As 13 「終焉の始まり」
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はいえ変わっているから、俺が本気で止めようとしているのだと理解したのだろう。
はやてと比べれば、シグナム達とは出会ってからの時間は微々たるもの。だけど彼女達との時間は、鮮明に思い出が蘇るほど楽しいものだった。
覚悟していたこととはいえ……シグナム達と二度と道が交わることはない。彼女達に辛い顔をさせているというのは苦しい現実だ。
だけど彼女達が止まれないように、俺も止まるわけにはいかない。
世界のため、だなんてことを言えたら一番いいのだろうが、俺にはそんなことは言えない。友達であるはやてのため、彼女の家族であるシグナム達のために俺は止めるんだ。
「……何で、何でだよ! はやてのこと大切なんだろ。わたしらに負けないくらい好きなんだろ!」
「ああ」
「だったら……、だったら何でわたしらが戦わないといけねぇんだよ! ……分かんねぇ、全然分かんねぇよ。はやてを助ける手段見つかってねぇんだろ。わたしらに任せてくれていいじゃねぇか!」
「……それはできない」
お前達がはやてのことをどれだけ大切に想っているか知っているから。俺にとっても大切な存在だから。だから……お前達にはやてを殺させたくないんだ。
この想いを言葉にしても、今の彼女達には届かないのだろう。ヴィータはまだしも、シグナム達は敵対する意思を固めている。言葉を届けるには戦う道しか残っていない。
「……お前……今のお前はわたしの好きだったショウじゃねぇ! 悪魔だ!」
涙を流しながらもはっきりと告げられた言葉に、胸の内が切り裂かれるような感覚に襲われた。
何で俺は……ヴィータと戦わなくちゃいけない。あの子を泣かせる真似をしているんだ……。どうして悪魔なんて呼ばれないといけないんだ!
そんな思考が脳裏を過ぎり、今すぐにでも和解したい衝動に駆られる。だが、自分が辛いからといってここで逃げるわけにはいかない。
はやてのために、騎士達のためにも闇の書の完成を止めさせると決めたんだ。……今回が俺に残された最後のチャンスかもしれない。
両親の死でバラバラになりかけた心を繋ぎ止め、癒してくれたはやてはかけがえのない存在だ。彼女の幸せのためならば、心が砕けることになるとしても……。
どんなに辛くても、苦しくても逃げるな。やれるな、俺……。
「……悪魔で構わない。俺には……貫きたい想いがあるんだ」
剣を構えながら真っ直ぐ見つめると、ヴィータは怯んだように後退った。噛み締めながらぎゅっと目を瞑ったのち、彼女は八つ当たりするかのようにデバイスを振り上げ高町の方へ走り始めた。カートリッジがリロードされ、次の瞬間には爆炎が巻き起こった。それもつかの間、桃色の光と赤色の光が屋上から飛び去っていく。
どうやらヴィータは、俺ではなく高町との戦闘を選んだようだ。
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