As 13 「終焉の始まり」
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なぜ彼女はこんなにも自分を庇ってくれるのだろう。
俺と高町にはそこまで強い繋がりがあるわけじゃない。それに俺は、彼女に対して裏切るような真似をしていたのだ。なのに……
「はやてちゃんのことが好きだから……闇の書が完成しちゃったらどうなるか」
「うりゃあぁぁ!」
突然響いた気合の声。テスタロッサは咄嗟に飛び退き、高町は防御魔法を展開させる。
ヴィータの一撃は重く、デバイスなしで発動した防御魔法では受け止めることができなかった。高町の身体は後方へと吹き飛び始める。
そうなるだろうと予測していた俺は、飛来してきた高町を受け止めた。が、あまりの勢いに一緒に吹き飛ばされフェンスへとぶつかる。ぶつかる直前に部分的に魔法を発動させていたので痛みはほとんどない。
「大丈夫か?」
「え……あっ、うん」
追撃があるかと思ったが、ヴィータはシグナムほど割り切れてはいないようで罪悪感を覚えているような顔をしていた。
ただヴィータに合わせてシグナムが動いたようで、テスタロッサが後方に飛び退いてデバイスを起動させていた。
「シグナム……」
「管理局に主のことを伝えられては困るんだ……そして、夜月。お前の存在は我らを迷わせる」
「私の妨害範囲から出すわけにはいかない……全員、覚悟してもらうわ」
これ以上の会話は無駄と言いたげな物言いだ。だがシグナムは俺の存在が自分達を迷わせると言った。ここで諦めるわけにはいかない。
「さっきの質問の答えだけど、俺ははやてには生きてほしいと思ってる」
「……だったら邪魔すんなよ。あと少しではやては元気になってわたしらのところに帰ってくるんだ。これまで必死に頑張ってきたんだよ。だから……邪魔すんなよな!」
こちらに歩いて近づきながら、涙ながらに訴えるヴィータ。彼女がどれほどはやてのことが好きなのかが窺える。それだけに止めたいという思いも一層強くなった。
闇の書が完成してしまえば、集めた魔力と主の命を使って破壊をもたらす。つまり完成させてしまえば、ヴィータ達にはやてを殺させるようなものだ。
完成した後も可能性は残されているが、その可能性は極めて低いもののはず。ならば、たとえ彼女達から嫌われることになろうと、できる限り完成させない道を選ばなければ。
「ヴィータ、その方法じゃはやては帰ってこない」
「――っ!?」
俺が言ったからなのか、それとも自分達の行っている方法に不安を抱いているのか、はたまた両方か。ヴィータの顔はひどく歪み、涙が一層溢れ出した。
「闇の書は壊れている。このまま進んだとしても、その先にあるのは……」
「黙れ!」
「――っ、ショウ!」
声に導かれるように視線を向けると、こちらに衝撃波が向かってきていた。反射的に近くに
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