17話:緊急事態
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「………」
結局カサマツが言いたかったのは鼻血を出すハメになり、いろいろ大変だからオレらには警戒しろと言った。
もう全てにおいて遅いがな。
エロガキ共はうひょ〜と絶頂真っ只中で鼻血ブー。大学生カップルは彼女が彼氏にビンタして帰っていったりちょっとした地獄絵図が完成してあった。
「あぁ、また掃除しなきゃっ!!」
他人の血を拭うって大変なんだよ、と嘆くカサマツ。
いっそのことオレらを出入り禁止にするんだな。まぁ無理だろうけども。理由は簡単で吹寄がここの常連でお得意様だからだな。
彼女を出入り禁止にして他店に足を運ばれるより、売り上げを落とすぐらいなら我慢しろということだった。
「わ、私、ちょっとあの人達を止めてきますので、カサマツさんは掃除道具をっ」
「お、おう!」
「………」
こうして、ようやくヨネダが駆けつけて、オレは吹寄の奉仕から解放されることになる。
いつも店員が注意してくるまでオレ自ら止めることなどできないんだから……
「じゃあ、オレちょっとあそこのマッサージチェアでくつろいでくるから」
「わかった。でも、逃げたらどうなるかわかるよね?近簿一二三」
「に、逃げませんのことよ……」
………。
今日はお前と遊ぶって決めてるんだから逃げないさ。
でも……
「いやー、学園都市にはいつも驚かされるね。タイムトラベルでもした気分だよ」
「………」
なんか、オレが機嫌よく座っていた隣のマッサージチェアに腰がけてきたのは、どっかで聞いたことのある声だった。
見たことのある赤髪に顔や右目下のバーコードのタトゥー。あと、イカす黒マント。
店内でタバコを吸うとかどんだけ非常識なんだよ、こいつと思えるほどに……
「ところで、せっかく学園都市に足を運んだのだからここはお土産を一つ、アークビショックにこの年寄りに効果的面なマッサージチェアをプレゼントするというのは名案だと思わないか? そこの一般人A」
「勝手にしろよ、ロリコン魔術師が……」
そうだった。
忘れていた。
今日がどんな日か。
あの店であの面子が揃っている時点で知っていたじゃないか。
あの巫女さん――――――姫神愛沙。
あの子があそこにいたということは、今日はそういう日だということなんだ。
オレはこれから始まる物語を知っている。アニメで知っている。
そして、何故ここにこの魔術師がいるのかを考えて、ただコイツを睨んだ。
あぁ、また理不尽にもいろいろ理屈などをつけてトラブルに巻き込まれていくんだ……クソッタレ。
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