暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep53『桜』それは出逢いと旅立ちを告げる花〜Last testament〜
[3/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
にも、ありがとう、って」
「うん・・っく・うん・・・っ・・・」
なのはが小さく嗚咽を漏らし始める。でもハッキリと泣かない。私はなのはの背中から両手を離す。するとなのはも私の背中から両手を離して、俯きながら一歩後ろに下がった。
「えへへ、泣かないよ。お別れは笑顔で、だからね」
顔を上げたなのはの目の端には涙が浮かんでる。だけど表情は綺麗な笑み。うん。本当に綺麗な笑顔だよ、なのは。なのはが泣かないんだから私も泣かない。返すのは笑みだ。
「ありがとう、シャルちゃん。元気でね」
「ありがとう、なのは。なのはも、元気でね」
握手を交わす。そして私たちは笑顔のまま別れた。握るモノが無くなった右手を、胸の上に添えて左手を重ねる。私は蒼空を仰ぎ見る。桜の花弁が尚も散るその世界の空を。
「・・・解ってるよ、界律。本当の
最後の契約
(
ラスト・テスタメント
)
はちゃんと片付ける。なのは達がオムニシエンスから離れるまでは、今はそっとしておいてよ」
私は私服姿へと戻って、本城へと視線を向け、本城に向かってゆっくりと歩き出す。瓦礫地帯を過ぎて、私の宝物がある宝物庫へと足を運ぶ。そこにはなのは達から貰ったプレゼントとか、この3千年の間に巡ってきた世界で気に入ったモノが多く収められている。
私はプレゼントの服を次々と着ては姿見の前でクルリと回る。もう2度と着ることが出来ないから。最後にまた自分の服に着替えて、ユーノから貰った本を読む。どれだけ時間が経っただろう。10冊は読み終えた。なのは達はもう“オムニシエンス”から遠く離れたはずだ。
「ヘルシャー・シュロス・・・・解除」
桜吹雪が舞う世界が消えていく。現実世界へと私も還り、地平線から昇る陽に目を細める。長かった1日が終わって夜明けを迎えた“オムニシエンス”の大地。“界律”とリンクしてなのは達の反応を探査。この世界付近に居ないことを確認。
「契約執行能力・・・顕現」
形態じゃなくて能力のみを顕現。最期くらいはお気に入りの服で迎えたいから。手にするのは純白の葡萄十字、“第三聖典”。
「オムニシエンス・・・いいえ、ギンヌンガガブを消滅させる」
それが私に与えられた本当の
最後の契約
(
ラスト・テスタメント
)
。私は現実・物質に干渉する実数干渉能力を最大限に発揮。“第三聖典”を頭上に掲げて、地面に向けて一気に振り下ろす。
“ギンヌンガガブ”の核に虚数空間を作り出して、この世界を内部から瓦解させていく。震動が起こり始める。次第に大きくなって、背後にそびえる“エヘモニアの天柱”が崩壊していく。地面に亀裂。陥没。“ギンヌンガガブ”が終わりを迎える。
「契約執行完了・・・!」
ありがとう。さようなら。私の大好きなみんな・・・。
・―・―・
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ