暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep53『桜』それは出逢いと旅立ちを告げる花〜Last testament〜
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・そうだな。フェイトの力だ。シャルは何もしてない。だから礼はいらな――痛ッ、蹴るな蹴るな」
事実だからしょうがないけど、ムカつくからルシルの太腿を何度も蹴る。逃げ出したルシルはもう放っておいて、私はフェイトをそっと抱きしめる。
「あはは。うん、でも、それでもありがとうだよ、シャル」
「フフ、そっか。なら受け取るよ、フェイトのありがとう。私も、ありがとう」
私の腕の中からフェイトが消える。フェイトも還した。
「ルシル〜、次はルシルね〜」
私がルシルを呼ぶと、ルシルは「だな」と言って戻ってきた。なのはは「いいの?」と聞いてきたけど、私としてはやっぱり、なのはは最後がいいから頷く。ルシルは私の前に立って、右手を差し出してきた。私はその手を取り、握手。
「ちゃんと幸せになりなさいよ? でないと許さないんだから」
「判っているよ。きっと幸せになってみせる。ありがとう。それじゃあ、また後で」
「うん。また後でね、ルシル。でも、この世界でのルシルとはこれで最後だから・・・ありがとう」
対人契約を行ったその瞬間、“神意の玉座”に居る
本体
(
ルシル
)
と目の前に居る
分身体
(
ルシル
)
との間の繋がりは途切れる。だからアグスティンとの戦闘も、こうして話している私たちとの会話も、これからなのは達と過ごす時間も
本体
(
ルシル
)
には届かない。
だからこそ今のルシルとの別れを惜しむ。最後にキュッと右手に力を込める。最後に微笑み、ルシルを還す。握手していた今は何も握っていない右手を戻す。次に、最後にお別れをするのは私の・・・大切な
親友
(
ひと
)
。
「なのは。またトロイメライを預かってもらえないかな・・・?」
「うん。喜んで、だよ」
“トロイメライ”の指環を手渡す。なのはは左手の中指にはめて、そっと右手をその上から重ねて愛おしそうに抱きしめる。それがすごく嬉しくて、でも寂しくて。私は小さく「バイバイ、トロイメライ」と呟く。
顔を上げたなのはは「シャルちゃん」と私の名を呼びながら、そっと抱きついてきた。私も「なのは」と名を呼んで、なのはの背中に両手を回す。
「ありがとう。ありがとう、ありがとう、シャルちゃん」
「うん。うん、うん。ありがとう、なのは」
少しの間、なのはを抱きしめたまま。なのはもそう。大好きなみんなの顔も、声も、温もりも、私はその大切な思い出を全て忘れるだろう。だけど、それでも私は魂に刻み込む。親友たちの全てを。
「なのは。帰ったらユーノに伝えて。オムニシエンスで見つけた本は全て処分してほしい、って。魔術に関するモノは、もう現代には必要のないモノだから」
「うん」
「あと、クロノやリンディさん達にも、ありがとう、って」
「うん」
「ヴィヴィオとそのお友達
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