第九十七話 ラドンその七
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「普通にこれで死んだわ」
「そうなりますね」
「ええ、確かに尋常な生命力ではないけれど」
「そうですね、しかし」
「このラドンは心臓が止まったわ死ぬわ」
逆に言えばオリジナルは決して心臓が止まらないというのだ。そしてスフィンクスはオリジナルのラドンのことをさらに話した。
「私が出したラドンは変温動物だけれど」
「爬虫類らしくですね」
「竜は違うわね」
「恒温動物ですか」
「ええ、おそらくはね」
生物学的にはそちらになるというのだ。
「その様ね」
「そうなんですね」
「巨体でもすぐに活動をはじめられるから」
爬虫類だとこうはいかない、活動出来る程身体が暖まるまでに多少時間がかかる。そのリスクを避ける為にディメトロドンの背中には鰭がありそこで熱を受けて血流をよくしていたのである。
「だからね」
「竜は恒温動物ですか」
「恐竜もそうだったという説があるわ」
この説は実際に言われている。
「変温動物ではなくね」
「あっ、そうなんですか」
「そうよ、実際はどうかは知らないけれど」
こうだ、スフィンクスは自分から上城の横に来て彼に話した。
「そうも言われているわ」
「色々な説があるんですね」
「そうなのよ。面白いわよね」
「はい、確かに」
「それでだけれど」
恐竜の話からだ、スフィンクスは上城にあらためて言った。
「いいかしら」
「はい、闘いが終わって」
「力を手に入れたわ」
「そしてですね」
上城が応えた瞬間にだった、前で。
ラドンの巨体、氷の中のそれが消えた。そして。
これまでにない多さの金塊が現れた、スフィンクスはそれを見つつ彼に対して金塊の処遇を尋ねるのだった。
「どうするのかしら」
「もう決まってます」
「そうなのね」
「ほんの少しなら貰いますけれど」
「殆どはなのね」
「寄付します」
そうするというのだ。
「いつも通り」
「無欲ね、相変わらず」
「無欲といいますか」
「違うのかしら」
「お金は必要なだけあれば」
いいというのだ、彼は。
「いいですから」
「金銭へのこだわりはないのね」
「はい、それに」
「それに?」
「もう既に」
今の時点でだというのだ。
「一生分のお金は手に入れています」
「それだけ戦ってきたというのね」
「はい、ですから」
それでだというのだ。
「充分です」
「そうなのね」
「とはいっても大学を卒業したら働きます」
例えだ、一生分の財産は手に入れていてもだというのだ。上城は就職することは絶対としているのだった。
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