第六十話 ハロウィンの前にその十六
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「負けないぜ」
「だろうな、そこまで強いとな」
「一シーズン全部四十点以上取って勝つんだよ」
これで負ける筈がない、野球ゲームとシュミレーションゲームはこうした編集を使えば途方もなく強くなるのだ。
「凄いだろ」
「それはそれで面白いんだな」
「一点差とかで勝つのもいいさ」
本来の阪神らしくだ、そうして勝つのもだというのだ。しかし本来は有り得ない圧倒的な戦力で勝つやり方もだというのだ。
「けれどそうしたのもいいんだよ」
「兄貴野球のことじゃ相当ストレス溜まってるだろ」
ここまで聞いてだった、美優はクールな目になって兄に問うた。
「そこまでするって」
「打たねえからな」
何につけてもだった、打てずに負けること程ストレスの溜まることはない。
それでだ、こう言うのだった。
「やっぱりそれはな」
「だよな、だからだよな」
「改造コード使うんだよ」
そうして思いきり強い阪神で戦って勝つというのだ。
「気持ちいいぜ。それとな」
「それと?」
「酒な」
今度はそれの話だった。
「美優御前最近酒何飲んでるよ」
「酒かよ」
「やっぱり焼酎か?」
「黒糖のな」
それだとだ、美優は今は兄のプレイを長めつつ答えた。
「それだよ」
「黒糖焼酎かよ」
「そう言う兄貴はどうなんだよ」
「俺最近それも飲んでるけれどな」
黒糖焼酎以外にもだというのだ。
「他の焼酎も飲んでるな」
「へえ、そうなのかよ」
「芋焼酎な」
それも飲んでいるというのだ、最近は。
「そっちも飲んでるんだよ」
「芋焼酎なあ」
その焼酎のことを聞くとだ、美優は微妙な顔になってこう兄に言った。
「薩摩っぽいからな」
「嫌か」
「沖縄って薩摩に色々やられたんだよな」
「大昔の話だろ」
「まあな。けれどな」
「それでもかよ」
「気になるんだよ」
微妙にだというのだ。
「そこがさ」
「別に気にしなくてもいいだろ、そんなことは」
兄はこう言う。
「福留だって鹿児島だろ」
「それもそうか」
「今更薩摩とか琉球とか言ってもな」
過去だ、それならというのだ。
「別に言ってもな」
「何か沖縄じゃウチナンチューとかヤマトンチューとか言う奴いたよな」
「ああした連中とは関わるなよ」
兄はゲームをしながらこのことが憮然として返した。
「絶対にな」
「やばい連中なんだよな」
「プロ市民だよ、そもそも金の出処だって怪しい奴等だぜ。金の出処が怪しい奴は」
どうかとだ、兄は美優に言った。
「信用するな」
「親父とお袋もそう言うな」
「そういう奴は碌な奴じゃない」
どういった場所から収入を得ているかわからないからだ、プロ市民の中にはそうした金の出処がわからない人間も見られるのだ。
「信用する
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