第六十話 ハロウィンの前にその十四
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「いいけどな」
「ダイナマイト打線かよ」
「実際ダイナマイトだったこと滅多にないぜ」
これが現実だ、阪神の長い歴史の中で打線がよかった時期は滅多にない。ただしピッチャーが悪かった時期はそれよりさらにない。
「打たない打線が代名詞だからな」
「今年本当に例外なんだな」
「例外中の例外だよ」
まさにそれだというのだ。
「チャンスに凡打、ゲッツーだろ」
「言うなよ、思い出すからな」
その思い出す場面も次から次に出て来る。ゲッツーよりも三振してくれた方がまだ救いはある。阪神のバッターはバットには当たるのだ。
「幾らでも」
「だろ?阪神はな」
「打たない打線か」
「そうだよ」
まさにそれだというのだ。
「ダイナマイト打線はトータルで五年あるかどうかだろうな」
「確か阪神って昭和十一年に出来て」
「一九三六年だよ」
戦前からある古いチームだ、大リーグのチームと比べると流石にまだまだその歴史は浅いが日本では二番目に古いチームだ。
「その時から見て」
「それだけかよ、五年か」
「どう贔屓目に見ても十年ないな」
阪神で打線がよかった時期はだ。
「阪神はな」
「ダイナマイト打線は一リーグ制の頃か」
「藤村さんとか別当さんの時な」
ミスタータイガースにして永久欠番十番だった千両役者藤村富美男と慶応大学から鳴り物入りで入団した別当薫のことだ。二人共攻守走揃っていた名選手だった。
「その時のことだよ」
「その時は打ってたんだな」
「すぐにチームが空中分解して駄目になったんだよ」
二リーグ制の騒動に巻き込まれ主力選手のかなりをパ・リーグに入る毎日オリオンズに獲られていったのだ、ここから阪神の低落がはじまったとも言われている。
「その別当さんも毎日に行ってな」
「ダイナマイト打線はすぐにか」
「消えたよ」
まさに消えてなくなったというのだ。
「戦後のまだ食いものがない時代に大暴れした伝説の打線もな」
「それでずっとかよ」
「バース様が来るまでな」
ダイナマイト打線は復活しなかった、何と三十五年もの間。
「山内さんや田渕さんがいても」
「全体は弱かったのか」
「一応ラインバック、田渕、ブリーデン、掛布の頃は強かった」
昭和五十二年辺りだ。尚田渕は昭和五十年にホームラン王になっている。
「けれど本当に強かったのは」
「やっぱりバース様の時か」
「その時だな」
ダイナマイト打線の復活があったというのは。
「あの時だよ」
「だから日本一になったか」
「バース様がいてこそだったな」
まさにその通りだった、バースは八五年セ・リーグの最優秀選手に選ばれただけでなくシリーズでも選ばれている。第一、第二戦での勝利をもたらしたのは彼の一打だったからだ。
「まさにな」
「偉大
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