欲望は血に塗れる
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「私達は、カトレーンからの使いの者です」
ギルドの扉付近に立つ、3つの人影。
共通するのは3人全員がフードを目深に被り、マントを着用している事。
その中で1番背の高い、中央に立つ人物の言葉に、ギルドに緊張が走った。
「カトレーンの・・・」
「簡単に言えば、敵って事か」
ルーシィが呟き、アルカが軽い舌打ちと共に言い放つ。
「お前達、お祖母様の命令を受けてきたのか」
「これはこれはクロス様。その通りですよ」
3人を睨みつけながらクロスが問う。
恭しく頭を下げる人物はフードから唯一見える口に弧を描いた。
小さく、赤い毛先が揺れる。
「リーダー、早く用件を」
「ああ、そうだね」
ナツ達側から見て右側に立つ小柄な人物が中央の人物に声を掛ける。
リーダーと呼ばれた人物は口元の弧はそのままに、優しい口調を崩す事なく告げた。
「ティア=T=カトレーン嬢をお迎えに上がりました。ティア嬢は何処へ?」
あくまでも、使いの者の声は優しい。
だが、その優しさは声の奥の奥まで染み渡っている訳ではない。
表面上は優しいが、その本質はただただ冷たかった。
「・・・悪いが、姉さんはギルドにいない。俺達も行方を捜しているんだ」
クロスは正直に答えた。
ここで嘘をついたところで真実が知られるのは時間の問題なのだから。
「ほう・・・行方不明ですか」
「・・・リーダー」
「・・・ああ」
小柄な人物に呼ばれ、リーダーは小さく頷く。
「!」
フードの下から小さく覗いた黒い瞳。
その瞳に冷酷な光が宿ったのを、アルカは見逃さなかった。
「手荒な真似はしたくなかったけど・・・仕方ないね」
その言葉の意味を、ギルドにいた全員が理解した、瞬間―――――
「パラゴーネ」
「了解」
リーダーに名を呼ばれ、小柄な人物『パラゴーネ』は右腕をナツ達へと向けた。
その手に魔法陣が展開する。
「グラビティメイク・・・槍騎兵」
淡々とした声でパラゴーネが呟く。
魔法陣が輝き、そして――――
「ごあっ!」
「ぐぎっ!」
「ナツ!グレイ!」
銀色とも灰色とも取れる色の鋭い槍が何本も空を裂いて飛び、ナツとグレイに直撃した。
ダン!と音を立てて、2人はステージ近くへと叩きつけられる。
「コイツ・・・造形魔導士か!」
「グレイ・フルバスター。私と同じ造形魔導士。氷の造形魔法を扱う。リオン・バスティアを兄弟子に持つ、ウル・ミルコビッチの弟子・・・」
自分と同じ造形魔導士の登場に、グレイは自分でも気づかないうちに顔をしかめる。
それに対し、パラゴーネは変わらず淡々と告
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