ずっとお待ちしておりました
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カ左近っ」
「わ、悪かったよ……ってお前っ!?」
怖かった…、死ぬことが恐ろしくて堪らなかった。
誰かに縋ってしまう弱さをとうに捨てたはずだったのに機会を得ればひょっこり顔をもたげる、何ともげんきんな奴だ。
「思い出したのか、全てを…」
着物の袖で涙をそっと拭い、ごく自然に紫紺の華奢な体を抱きしめた。
背中に回された手があまりにも優しく擦ってくれるから余計に涙腺が緩んで困る。
「あぁ、思い出したよ……君が誰なのか……僕が何者なのか」
きっと、これでも加減はしてくれたのだろう、鳥たちがいる机以外はまるで不法投棄された家電製品のようにあちらこちらに散らばってはあるが窓ガラスも部室にも損傷はなさそうだ。
「……」
部室には物音に驚いて羽ばたいた鳥たちの羽根が飛べない主の代わりに宙を舞い、そして……はらはらと堕ちていった。
願わくは部室の外で壁に背垂れている人物には降り積もらんことを……。
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