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覇王と修羅王
合宿編
十話
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持ち合わせてなかった。

「と、とりあえず二人も、どうぞ座って。ヴィヴィオも今のうちに準備してきたら?」
「はーい。あ、アレクさん、あれはママのちょっとしたうっかりなんで気にしないでくださいね?」

 フェイトに促されアレクもリオとコロナが座るソファーに腰掛けようとするが、ヴィヴィオの言った大歓迎という言葉を思い出す。
 なので先にアインハルトを押し込み、何も仕込まれてない事をチェックする。更に手を当てて、浮き沈み加減をチェック。
 どうやら変哲ないソファーのようだが、先程の事もある。果たして座っていいものなのか……。

「……何してるんだ?」
「ヴィヴィお嬢が大歓迎つってたんで、なんか仕掛けられてるのかと」
「何もねーよ。いいから座っとけ」
「……へい」

 アレクは恐る恐る座るが、何も無い事に安堵の溜息を吐く。
 ただ、余所の家では余りにも失礼な態度であり、ノーヴェは心底申し訳なさそうにフェイトに頭を下げる。ヴィヴィオを喜ばす為に早く会わせたのだが、空港でティアナに鎖繋いでからの方が良かったかもしれない、と少し後悔もしながら。

「すみません、こんな奴で。悪気は無いのですが……」
「ううん。アレクは……凄く楽しい子だね?」
「……はい、ありがとうございます」

 フェイトの気遣いに、ノーヴェは嬉しいやら申し訳ないやらで再度頭を下げた。


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