合宿編
十話
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ヴェを見上げるとある一点を見詰めていた。
「……え?」
視線を追うと、四月の最初の頃に出会った年上の二人組。私服姿で、旅行にでも行くようなバッグを持って近付いて来る。
何故、若しかして。二つの思考が渦巻くが、今一度ノーヴェを見上げると肯定するように笑っていたので、片方が吹き飛んだ。
「お待たせしました」
「いや、待ってないよ。ちゃんとアレクも来たな」
「後が怖いんで、ハハ、ハ……」
乾いた笑いをするアレクを余所に、アインハルトはノーヴェに頭を下げるとヴィヴィオ達の方へ向き直った。
「お二人も行くんですか!?」
「は、はい、ノーヴェさんにお誘い頂いて。ご迷惑にならなければ良いのですが……」
「いえそんな事絶対ありません! もー大歓迎ですよっ!!」
ヴィヴィオはアインハルトの手を取り、上下に勢いよく振る。
アレクが取次してくれた試合でも敵わなかったが、スパーリングの時とは違いアインハルトは全力で応えてくれた。結果はまた負けてしまったが、趣味と遊びという言葉を撤回して謝罪までしてくれた上に、また機会があれば、とも言ってくれた。
すぐ試験期間が迫ったのでまた一戦交える機会は無かったが、練習会でまたやれるかもしれない。それに此れからは一緒に練習したり、色々な話もできるかもしれない。そう思うと堪らない。
そしてヴィヴィオはもう一人へ振り向く。
「アレクさんも大歓迎ですよっ!!」
「俺は程々に放っておいてくれてイイヨ?」
「じゃあ大っ、大っ、大っ歓迎しますっ!!」
「通じてねぇ〜……」
目が眩しい、と空を仰ぐアレクの手をヴィヴィオは勝手に取り、これまた同じく上下に勢いよく振る。
通信では何故か話が反れて何処かの王の子孫な事しか知れなかったが、その分色々な話が出来た。だからこの四日間でもっと仲良くなれる筈。
それにスパーリングだけでなく、アレクともちゃんとした形で戦ってみたかった。でなければアインハルトとの事とか色々知れない事もあると思うし、話してくれないと思う。だから思いっきり打つかってみたい。
ヴィヴィオはこの四日間が楽しみで仕方がない。
「ヴィヴィオ、そろそろ移動しないか?」
「うんっ! じゃあわたしの家に案内しますねっ!」
ノーヴェに促され、ヴィヴィオは自宅へ先導する。時々後ろを振り返り、ぶつかりそうになったりした所をノーヴェに引っ張られたり、道を間違えそうになったりした所もノーヴェに引っ張られたりしていたが、それでもヴィヴィオは上機嫌にお下げを揺らしながら歩いて行く。楽しみだった合宿が凄く楽しみになったのだ、だから機嫌が下がる事なんて有り得ない。
だが、最後尾を歩くアレクは、隣のアインハルトに思っている事をボソリと呟いた。
「ヴィヴィお嬢
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ