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覇王と修羅王
合宿編
十話
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ハルトは通信を受けた。

『よっ。試験は順調か?』
「お蔭様で。アレクさんも赤点は十分免れると思います」
『それは何よりだ』
「はい、本当に……」

 うんうんと頷くノーヴェに心から同意する。アレクが赤点を取った場合、内容次第でアインハルトも連帯責任になるかもしれないのだ。アレクと違ってデコピン以上に手を出される事はないが、何時今のラインを越えるか分からない。
 だが、これ以上考えると試験に支障をきたす恐れがあるので、アインハルトは思考を切り用件を訊いた。

「ところで、何か急用でもあるのですか?」
『まあ急用と言えば急用だな。今度の四連休に姉貴やティアナの訓練合宿に同行するから、お前達も行かないかって誘いだ。ヴィヴィオ達も居るし、暇にはならないぞ』
「休日は練習に充てる積もりなので、折角ですが……」
『だからその練習に行くんだって。ランクAAからオーバーSの魔導師の訓練内容も見れるし、良い経験と勉強が出来るぞ。この前アレクんとこ泊まったのティアナには内緒にしとくからさ、行ってみないか?』
「それは、興味ありますが……でも宿泊はやむを得ない事情があった結果で……っ!? な、何故知って……」
『まあ落ち着け。あたしは人を見る目はあるつもりだ、何も無かったのは分かってるよ。で、どうする?』
「……是非参加させて下さい」
『じゃ、決まりだな。詳しい事は後でメールすっから、今は試験に専念してくれ』
「……はい……」

 ノーヴェとの遣り取りを終えたアインハルトは肩を落とした。選択権なんて無いに等しく、一者一択にしか感じない。それに、泊まったのではなく、どちらかと言えば看病なのに……。
 再びアレクに目を移す。
 試験中だがアレクは練習を続けている。勿論アインハルトも同じく練習を怠ってないが、見ていて眉を顰めてしまう時がある。時間を忘れ、鬼気迫るように拳を繰り出し、動けなくなるまで続ける事が週に二回か三回ほど起こる。
 恐らく受け継いだ戦闘経験が関係しているのだろう。アインハルトも最初の頃、記憶が夢に出てきた時は飛び起き、寝れない事は何度もあった。今アレクに起きている事は自分と同じような事だろう。元々の自由を求める姿勢から、前々から感付いていたのかもしれないが。
 ただ、これは言って止まるようなものでは無い。自分で克服や折り合い等し、乗り越えなければならない知っている。だからアインハルトは止められない。
 とはいっても、ただ見てる事も出来なく成っていた。ティアナから見とく様に言付けされたからか、オアシスだからか、それとも孰れの為に身体を労わってほしかったからか。どちらかといえば後者だろうが、朝昼晩の食事や掃除と、何かと世話を焼くように成っていた。
 宿泊したのは、雨の中でもやっていたので風邪を引かないか心配だったから
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