Episode24:魔法記者
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だが、先程の事で耐性ができたのか感情が麻痺してしまったのか黒い笑みで一瞬の内にエリナを涙目にした。
「わかったのは、司一の親類関係です」
「流石、早いね」
隼人の素直な賞賛に笑みを浮かべて、エリナは恍惚とした表情を引っ込めた。真面目な話をしたいのだろう、隼人は理解して重りとして使っていた石を消失で消した。もともと裏庭に落ちていたただの石だから消してしまっても問題はない。
「司一の本当の両親は離婚しています。現在の彼の親類は、元々の父親と、その再婚相手の義母、そしてその連れ子である弟、司甲です」
「ふむふむ」
「残念ながら一についてはこれくらいしか分かりませんでした。代わりとしてですが、司甲についても探りを入れました」
「ありがとう……それって追加報酬つく?」
コクリと頷いたエリナに、隼人はガックリと肩を落とした。一の情報の報酬に加え、甲の情報への報酬。一体、ナニをされるか分かったもんじゃなかった。
「司甲。魔法大学付属第一高校三年剣道部所属。旧姓、鴨野甲。両親、祖父母共に魔法適性はなし。しかし鴨野家の実態は賀茂家の傍系にあたり、一種の先祖返りによって司甲に魔法適性が現れたと見ています」
「剣道部…?」
そこで、隼人は剣道部と剣術部の乱闘を止めた時に感じた奇妙な視線を思い出した。もし、それが司甲のものだとしたら。
「恐らく、司甲が第一高校に入学したのも兄である司一によるものかと思われます。つまり、司一は大分前の段階から今回の作戦を考えていたことになります」
「なるほど、兄弟で協力関係にあるってことね…ありがとうエリナ」
「いえ…っと、すみません」
エリナの端末に通信でも来たのだろう。会社の上司か、通信先の名前を確認した途端にエリナの顔が青褪める。
「も、もしも…ヒィィ!すみません!ごめんなさい!はい、はい。い、今すぐ戻りますぅぅ!」
通信相手は相当お怒りのようだ。エリナの端末から男の怒声が聞こえてくる。締め切りがどうとか、隼人には聞こえた。
「うぅ…申し訳ありません。社長が激おこぷんぷん丸なので今日は帰ります」
「激おこぷんぷん丸っ、て…かなり昔の死語を使うね…」
苦笑いする隼人を置いて、エリナは物凄い勢いで玄関へと駆け抜けていった。恐らく、加速魔法を使って。
「さて…明日は討論会か。仕掛けるには絶好のタイミングだね」
恐らく、風紀委員である隼人は警備に回されるのだろう。ならば、有る程度は自由が確保されている。
「ブランシュ、どう来る…?」
思案顔になる隼人だが、突如上から聞こえてきたなにかが落ちる音に、思わず苦笑いを浮かべた。
ベッドから落ちたであろう姉を介護すべく、隼人は急いで階段を登って行った。
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