暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode24:魔法記者
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舌打ちを漏らす。ターゲットの顔は一致。敵は隙だらけ。絶好のチャンスなのだが、相手は電話中。ここで殺しに行ってしまえば急に返事がなくなったことに電話の相手は不信感を抱くだろう。僅かな情報すら標的とその近辺には与えたくない。故に、スバルはターゲットが電話を終えるのを待つしかなかった。

待つこと数分、男は電話を切り、その端末をデスクの上に置いた。それを見て、動く。

音もなく扉を開き、加速魔法で一気に背後をとったスバルに、男は気づかなかった。刀型のCADが男の首筋に添えられ、視界は手で遮られる。

「アンタが、ブランシュの幹部さんね?」

「……!」

怯えを表す男に冷ややかな視線を向けて、刀を首に押し当てる。プツ、と皮膚が切れ一筋の血が流れた。

「聞きたいことは一つだけよ。目的は?」

ここにきて、動きが激しくなったブランシュ日本支部。明らかになにかを企んでいるのは確かだ。そしてそれは隼人によってある程度判明している。スバルのは、その仮定の裏付けだった。

だが、この魔法師でもなんでもない男の口から出て来た言葉は、問いに対する答えでも、悲鳴でもなかった。

「殺れ…!」

掠れた声で発せられたのは、何者かに向けた命令。瞬間、スバルは凄まじい風圧を受けて侵入してきた扉へ押し戻された。

「…用意周到ね……」

思わずそう漏らしてしまったのは仕方のないことだった。

舌打ちをしたスバルの視線の先。そこには、黒鞘の刀を持った異様な雰囲気を持つ女が佇んでいた。

ソレは例えるならば、『亡霊』。目の前にいるのに、知覚できない。確かに視界に入っているはずなのに、存在を感じ取ることができない。

(…BS魔法かしら…?どちらにせよ、存在が認知できないのは厄介ね)

背筋に冷や汗が流れるのを感じて、スバルは内心の焦りを悟られないように納刀したままの刀を構えた。

チラリと部屋の中を窺い見ると、どうやら男は早々に逃げ出したようだ。

「貴女はブランシュの人間かしら?」

油断なく刀を構えて、亡霊に向けて問いを紡ぐ。だが、返ってきたのはやはり殺気のみ。交渉は無理、とスバルはその選択肢を切り捨てる。

「……!」

ユラリ、と影が動いた。そう認識した時にはスバルは反射的に刀を前に突き出していた。ガキン、という硬い感触が柄から伝わってくる。

どうやら防げたようだ、と安心するのも束の間。背後から強烈な殺気を感じて慌ててその場を飛び退る。

(本当に厄介…存在を感知できないから、全ての動作が後手後手に回ってしまう)

BS魔法は、現代の魔法理論では実現不可能な特異能力だ。それには様々な説があるが、過去に存在していた魔法師ではない御伽噺的な『魔法使い』の血縁者の所謂先祖返りというのが有力視さ
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