Episode24:魔法記者
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?」
「ああ、頑張りなシャイボーイ」
意地の悪い笑みを浮かべて店の奥にひっこんで行ってしまった沙織さん。俺は、店の中に亀甲縛りで天井から吊るされている少女と二人きりなっしまった。
「……最近、恥ずかしい思いをすることが多い気がする」
顔を真っ赤にしながら、遂にはビクンビクンし出した少女を慌てて降ろすのだった。
「だ、大丈夫?」
「ふぁい、らいひょうふれす…」
(全然大丈夫そうに見えない…)
いつから吊るされて縛られていたのだろうか。自らを魔法記者と名乗る少女は、地面に降ろされた後もしばらくビクンビクンと震えていた。というか、隼人が指先でツンツンと突つくものだから、更に悪化してしまっている。
表面上では心配しているようで、実際は少女を虐めて楽しんでいる---、隼人にそんな意図は決してないのだが、端から見ている沙織にはそのようにも見えた。
とにかく、少女が正常に戻らないと本題に移ることができなくなる。隼人はそう判断して、取り敢えず少女を寝かせておくことにした。
「それにしても、アンタはまた厄介そうな事件に巻き込まれてるねぇ」
「その俺が毎回事件に巻き込まれてるような言い方やめてよ。事実なんだけどさ…」
そう言って差し出されたカップを受け取る。どうやら普通のコーヒーのようで、以前擬似コーヒーという実態はアルコール度数が半端じゃない酒を飲まされたことがあるために警戒していたのだけど、どうやらそれは奇遇のようだった。
「それで、敵さんの大体の構成は分かったのかい?」
「うん。取り敢えずは、ブランシュ日本支部に、それに操られているであろう差別撤廃の有志団体。そして、ブランシュに雇われているであろう大亜連合特殊工作部隊……正直、かつてないほど大きな組織になりつつあるよ」
「確かに厄介だねぇ…それで、アンタはその娘をどう使うつもりだい?」
少し落ち着いてきたのか、少女はまだ呼吸を荒げているが痙攣することはなくなっていた。立ち直りが早くて助かるよ。
「『使う』だなんて人聞きが悪い。ちょっと、『協力』してもらうだけだよ」
やだなぁ沙織さんったら。使うだなんて、まるで俺が酷い人みたいじゃないか。
「自覚はなし、ねぇ…まったく、変なところばかり櫂に似てきてるよ」
「一応褒め言葉として受け取っておくよ」
さてと、そろそろ大丈夫かな?
「やあ、久し振りだね。魔法記者さん?」
「……!」
床にヘタリこんでいる少女と目を合わせてニッコリ笑いかける。すると、彼女は思い切り目を逸らした。
「君には色々と言いたいことがあるけど、一先ずそれは置いておくことにするよ」
「……」
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