Episode24:魔法記者
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か。
取り敢えず、敵勢力は大きく分けて三つ。『有志同盟』『ブランシュ』そして『大亜連合』。明らかに一介の高校生がどうにかできる布陣ではない。でもまあ、俺がただの高校生であるはずがないわけで。
「あ、もしもし沙織さん?」
『表世界』でできることは確かに限られてくるけど、『裏世界』でなら、そこはもう俺の管轄内だ。
「あ、正体がわかったんですね。はい、じゃあ今から行きます」
思わぬ朗報に笑みを浮かべて、俺はキャビネットに乗り込んだ。
「おじゃましまーす」
カランカラン、とベルが鳴って扉が閉まる。夜になればスナックとして活動しているこの店は、昼間はまだ準備中の札がかかっている。とはいえ、ここの店主から入店の許可はもらっているために尻込みすることなく俺は店に入った。
落ち着いた雰囲気の、少し狭いスナック。どこにでもあるようなレトロな空気は、結構お気に入りだったりする。けどまあ、『天井から縄で縛られて吊るされている少女』がいて、その雰囲気はぶち壊しになってしまっている。
「おや、意外と早い到着だね」
「どうも沙織さん」
これは一体どういう状況ですか、と聞く前に、店の奥から出て来た沙織さんに挨拶を返す。父さんよりも少し年上だからもう四十代後半だろうが、その美貌は変わらない。無理を通せば二十代でもギリギリで通ってしまいそうだ。
「それで、この娘が?」
縄で、縛られ…ていうかなんかこの縛り方おかしくない?なんだっけこれ…ああ、そうそう亀甲縛りっていうやつだ。そんな縛り方のせいで少女の色んなところが強調されていて、正直目のやり場に困る。
「ああ、そうだよ。今年の二月後半あたりに、アンタをノイローゼ寸前まで追い込んで取材した『魔法記者』だ」
まさか、俺よりも年下の女の子だったとは。俺に付きまとっていたのは成人男性だったけど、認識阻害の魔法でも使ってたのかな?
まあ、それはいいけど…沙織さんなにやってんの?
「あの…流石にそれは……」
目隠しをされてぐったりしている少女に、更に口にナニカ固定具のようなものを嵌めようとしている沙織さんを止める。
「そうかい?人様に大きな迷惑をかけたんだ。それ相応の罰は必要じゃない?」
「いや、それはちょっとやりすぎかなー、と…それに俺も目のやり場に困るので」
『沙織を怒らすと、もうヤバイごめんなさい』、そう涙目で言っていた父さんの言葉に、最大の同意を返す。この人は決して敵に回しちゃダメだ。社会的に殺されることになる。
「そうかい、ま、直接被害を受けたアンタがそう言ってんだ。ここまでにしとこうかね。アタシは店の準備があるから、その娘降ろしといてくれ」
「う、俺が…
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