暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第十三話 これが後輩?
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て出る。

「越戸のヤツ、山ほど持ち込んどる漫画読み始めたら、全く口利いてくれへんのですわ。壁にはクソでかい『プリキュア』のポスター貼り出すし、たまに部屋真っ暗にして壁にアニメ投影して見てるし、けったいなヤツやでホンマ」
(……越戸は越戸でヲタだったんだ…)

翼は閉口した。
宮園曰く勉強も野球も中途半端なこの学校には、その反動かキャラが濃い連中ばかりが集まっているような気がする。

「ささ、パワプロしましょパワプロ。僕今日は久々にエレブース使いたいんすよ〜」
「パワプロなら鷹合も持ってるだろ。今日俺疲れてるんだよ」
「いやいや、廉太郎くんもう寝てもたんですよ〜。あの人たまに風呂も入らんと寝てますからね〜。だから、仕方なくヨッシーに付き合うてもらうんです〜」
「」

ニコニコと満面の笑みを浮かべる枡田が携帯ゲーム機をポケットから持ち出し、翼は何度目か分からないため息をついて同じモノを棚から取り出した。



ーーーーーーーーーーーーーーー



「ヨッシー、葵ちゃんとどないやって出会うたんですか?」
「ふぇっ?」

パワプロの対戦も佳境に入り、翼がぼーっと条件反射的に指を動かしていると、枡田が何の脈絡も無く尋ねてきた。翼は不意を突かれて頓狂な声を出す。枡田はふふん、と笑った。

「ほら、馴れ初めてもんがあるでしょ。いきなり付き合うたわけやないでしょ?まぁ僕は、その場限りで3人くらいとヤりましたけど」
(……こいつ今何かさらっとおかしい事言わなかったか?)
「ほらほら〜遠慮せずに言うて下さいよ〜」
「な、何で言わなきゃいけないんだよそんな事!どうせお前、またネタにするんだろ!嫌だよそんなの!」
「え〜、でもゴミ箱にシコティッシュめっちゃあった話よりかはマシとちゃうかな〜?」
「なっ…///」

赤面する翼を見て、枡田は実に楽しそうである。
ちなみに、枡田は実際にゴミ箱など覗いていない。ハッタリである。

「…正直あんまり覚えてないけど」

そのハッタリにまんまと引っかかってしまう辺り、翼は純朴な島の子だった。


ーーーーーーーーーーーーーーー



観光地である木凪本島に住むシティボーイの翼が、木凪諸島の中でも外れにある斧頃島にやってきたのは6歳の頃だった。
生まれた時からずっと家から海が見え、潮風に育てられていた翼の心を、リゾートとして作られた海とは比べ物にならないほど澄んだ斧頃の海の青はガッチリと捉えた。その美しささえあれば、幼稚園の友達など居なくても寂しさは感じなかった。

堤防の上にちょこんと座って、いつも通り海の青を見ていると、その海の青を割って、日焼けした人懐こい顔が浮かんできた。

「ねぇねぇ、一緒に泳ごうや!」

それが葵とのファースト・コ
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