第一物語・後半-日来独立編-
第七十章 竜神《2》
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実空間にいる己が怒りの感情を得、暴れている理由だ。
意思の一部であり、現実空間に神が現れればかなりの弱体化を強いられる。普段よりも格段に弱い、ゆえに宿り主の感情に支配されたのだ」
「なるほどな。んでさあ、奏鳴の暴走はもう無くなるんだよな」
奏鳴本人には暴走は無くなると言ったが、あくまで人間の考えを元にした結果を言ったまでだ。
この世に神が存在する以上、急な理不尽はやってくる。だからセーランは今後の奏鳴の安全を知っておきたかった。
竜神が世界の全てを決めるわけではないが、気休めであっても神の口から聞いておきたかった。
今現在、竜神が分かっていること。多分それはセーランとあまり変わらない。
何故ならば、全ての神が運命を知っているわけではないのだから。
「宿り主になるということは、宿した神と近い存在になること。現実空間の概念上、人は人として扱われるが、時として神とも捉えられる。己が己の力を飲み込もうとも暴走などしない、自身を受け入れるのだからな。
暴走になるということは今後考えにくい。憑依によっても、かなり己の宿り主は己の力に慣れた」
「なんでお前はそこまで力を求める。神である以上、ましてや竜の頂点だろ……自分の宿り主の命削ってまでやることかよ」
どうしてそこまで力に執着する。
怒り。そうこれは怒りだ。
竜神に対する、神への反抗意識。
歯向かうものを前にした竜神だったが、たかが人一人。恐れるに足らなかった。
「力は全てだ。何においても、ましてや貴様のように世界へと歯向かうのならばな」
「答えになってねえよ。お前は神だ、それも上位のな。なのになんで力が欲しい、答えろ」
伝わってくる。竜神は感じた。
セーランという者から自身へと向けられた負の感情。粘っこく張り付きそうな、そんな怒り。
何故に怒っているのか。それは竜神でなくとも安易に想像出来ることだ。
「愛した者の余命が短いこと、己に向ける怒りはそこから来るのだろう」
そう言うことだ。
セーランは決して自分に向けられたことに対し、ここまで怒ることはなかった。
誰かが傷付き、傷付けられた時のみ、潜めていた怒りが表へと顔を出す。
優しさからではない。ただ、そうでしか怒りを露にすることが出来無いのだ。
本人は理解していなく、単純に怒っていると思っている。異常なのかどうなのか。――きっとそれは異常だ。
怒るということは意思の表現。自分のことに対して怒れないということは、本人自身が自分のことを大切にしていないということである。
「何故、己が力を欲するか。その根源は単純だ――!」
炎の壁が中央から、広がるように左右に割れた。
とっさの反応で身構えるセーランの前に、青い火の粉が散る向こう側、竜神がいるのは確かだ。
しかし、目に映
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