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Myu 日常編
冥星は結構陰湿である
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の献立の主役であるカレー担当である。
 さぁ、こい。お前の器に大量のご飯と少量のルーで、味気のない食卓を披露してやるぞ。やることなすことがすべて小者であることに、彼は気が付いているだろうか。
 そして、この作戦には致命的な欠陥があることに、彼は気が付いているだろうか!?

「あ、私ダイエット中だから、少なめで」
「あ、はい」

 オーダー!!
 黙って器に盛られるはずの給食に、いちいちオーダーをする輩がいるのだ! ここはレストランじゃねぇ! 黙って盛られていろと叫びたい心を必死で押えながら冥星は標的である六道 凛音をまんまと見逃してしまった……。

「お、おい、冥星がすげぇ顔しているぞ」
「そんなに悔しかったのかな……でも女の子って給食少な目の方が喜ばれるんじゃない?」

 外野がうるさい。俺の作戦は完璧なのだと疑わない冥星は、実はどうでもよかった大蔵 姫を、腹いせに毒牙にかけようとしていた。

「冥星って、ほんと、女の子に興味ないんだね。普通、姫ちゃんみたいな子にこんなことする奴いないよ」
「あいつは飯が食えて寝ることができれば満足なのさ。姫、ごめんな」

 達也の感心した声とは裏腹に、隼人の心は罪悪感でいっぱいだ。お腹を空かせて姫を想像すると、胸が苦しくなる。俺のを分けてやろうか、と既に冥星を裏切る算段までしているのだから困ったものだ。

「大盛り」
「…………なに?」
「大盛り、特盛で」
「ほ、他の人の分もあるから、それはちょっと」
「特盛」
「あ、はい……」

 大蔵 姫は、冥星以上に食い意地を張った少女だという情報を、誰もが持ち合わせていなかったことが、この作戦の一番の敗因だった……。
 

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