冥星は結構陰湿である
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からなんて言われるか……」
「俺からも頼むよ、冥星。ただでさえ、あの姫を怒らせちゃったんだ……大問題だよ」
「怒って……たのか?」
「横の子が怒ってたでしょ? それが姫の怒りになるの」
「なんだよそれ……」
なんだか納得のいかないことだらけだが、悪友二人からストップをかけられてしまえば、いくら冥星といえどもおとなしくなる。何せ、多勢に無勢。そしてあの――。
「ゴリラ、女……」
「ああ、凛音だろ。六道 凛音。姫の小間使いだな」
「小間使いって……まるで偉い人みたいじゃないか!!」
「「だからそういってるだろ」」
あのゴリラは小間使いだったのか。顔はあまり覚えていないが、如何にも自分の嫌いそうな性格だと確信した。だいたい、小間使い如きに舐められてしまっては城島家(滅亡した)の嫡男としての名が廃る。
どうにかして、あの女に男の恐ろしさを教えてやらねばならん。悪友二人の引き止めも既に忘れ、冥星はまたしても最低な策謀に頭を働かせるのだった……。
※※※※※※
打つべし! 打つべし! 打つべし! 確かこんな声だったか。屋敷にいた頃、既に他界した母親に変わり入ってきた女が、こんな言葉を冥星と冥星の姉に向かって繰り返し叫んでいた。
姉は既に鬱気味だったので仕方なく自分が変わりに聞いていたのだが、慣れてくると、なるほど、子守唄に聞こえないでもない。狂気的な叫び声も、甘く甘美な囁きに聞こえてくるのだ。だからなんだというわけだが、結局のところ人間は仲良くなれない者とは相容れることは不可能だ。それを我慢してまで戦っているのが、今日に我々を支える企業戦士たちである。冥星は彼らを尊敬していると共に、一種の侮蔑を感じている
故に、彼はカリスマニートとして世間に君臨することを誓っている。社会に馴染むことのできない哀れな者たちの救済のために。
「よし、これで完璧。俺、最強。マジで最強」
悪友二人の手前、大きく出ることを控えた冥星が思いついたのは、いやがらせだ。
今日は待ちに待った給食当番だ。つまり、自分の飯を大量に持っても何の文句も言われないスペシャルデー(そんなわけない)なわけだ。
そして……他人の飯を、どれだけ減らしても気づかれない悪魔の日! その分を己の器に加算し、証拠隠滅を図ろうという冥星にしか思いつかない屑の発想に、誰しもが感服することだろう。
さっそく割烹着に身を包んだ冥星は、悪友二人の呆れた表情を横目に、やってくる空腹の民たちの器に容赦なく微量の食料を与える。こいつが君主なら間違いなく国は亡びるだろうと誰しもが予期せざるを得ない悪者っぷりだ。
「……! おい、冥星、来たぞ!」
「……冥星、頑張れ!」
標的の登場に、冥星の心は歓喜した。震えるお玉にはカレーのルー。冥星は今日
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