冥星は結構陰湿である
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てくるではないか。
人形のような白い肌、凛とした気の強そうな瞳。典型的な日本女性とでもいえばいいのか。大和撫子という言葉は、彼女のためにあるのだろう。
「横の、不細工じゃなくて?」
「冥星、そういうこと口にしちゃダメだよ、本当さ、な隼人」
「ん……まぁな」
そんなことが認められていいのだろうか? 世界が許しても俺が許さん。即座に冥星は手に持っていた給食のパンを食らいつくし、少女の前に立ちふさがるように仁王立ちした。
「ああ〜……だから嫌だったんだよ……やらかすぞ〜あいつ絶対やらかすぞ〜」
「あはは、我らが王様は今日も絶好調だね」
いきなり現れた白髪の少年に、少女たちは嫌悪感を隠せない。曲者以外の何物でもない男は、真ん中の少女を睨むように見つめた。
「……何?」
「なるほど、なにかに似ていると思ったら、家にあった雛人形だ」
「それは、褒めてるの?」
「いや、がっつり貶してる」
そう言い終わる前に、冥星は横から何かの衝撃で壁際へ叩きつけられた。めり込んだ壁を見るとあり得ない怪力の持ち主であることは確かである。それについてはさほど驚くことでもないが、どうやらこの学校にもゴリラがいることがわかった。
「さいってい……っぺ」
「ま、まて、こら……」
黒髪の少女は、対象から興味を失ったかのように冥星の呼び止めにも反応を見せず、去っていく。まるで機械だ。精密にできた、機械人形。
そして、冥星にダメージを与えたであろう真っ赤な髪をした凶暴な女。冷たい目線と共に、冥星に、『唾を吐きかけた』あの憎たらしき女はいつまでも冥星を睨みつけている。それを見届けると、冥星はゆっくりと意識を闇に沈めていくのだった。
「冥星よ。お前は誰にケンカを売ったのかわかっているのか?」
「……しらねぇよ。くそ、まだガンガンする」
「大蔵 姫。まさか、この名前を聞いてもわからないの?」
「……しらね、いや、まて、確かこの前行ったラーメン屋にそんな名前があったような……ま、まさか、かなり有名なラーメン屋の娘なのか!? だとしたら俺はなんて失礼を!」
「ちげーよ! 大蔵家っていえば、この辺一帯を占める大元締めのようなもんだよ! お前なんつーことを……」
「ラーメン屋に名前があったのは、多分スポンサーか何かだね。冥星、今からでもいい、謝った方がいいよ」
ラーメン屋の娘ではないところから既に興味を失っていた冥星。隼人は頭を抱えて落ち込んでいる。バカがいくら頭を悩ませても意味はないのだが、それを言う雰囲気ではないことは、さすがの冥星でもわかる。
そして、冥星の頭にはもう、なんの躊躇もなく、あの女に対する復讐心でいっぱいだった。
「冥星! 頼むからもうやめてくれ! な!? これ以上やると、俺、家
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