それが彼女の願い通りじゃないとしても
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かうと思うな。その思いで全ての人間が救えると思うな。その思いが誰かを傷つける事もあるという事を学べ・・・ナツ・ドラグニル」
その瞳は、冷酷。
フィレーシアンを突き付けるライアーは本気だった。
これ以上ティアを追おうとするならば、ライアーはナツを容赦なく斬るだろう。
「お、おい!何をしてるんだライアー!今すぐフィレーシアンを降ろせ!」
「主の命令だが、それは断らせてもらう。それで俺に何らかの罰が与えられようと構わん」
クロスが叫ぶが、今のライアーには通用しない。
その体からじわじわと魔力が溢れる。
ゆっくりと足元から風が巻き起こり、黒髪を舞い上げていく。
魔力が風へと具現化されているのだ。
「・・・愛する女が辛い思いをしなくていいのなら、俺への罰など軽いものだ」
誰に言う訳でもなく呟く。
フィレーシアンに魔力が纏われ、風を帯びる。
「覚悟ォ!!!!」
槍形状のフィレーシアンを握りしめる。
ライアーがフィレーシアンを強く、容赦なく振り下ろそうとした・・・その時だった。
「槍を受け止めろ、見えぬ剣よ」
声が響く。
淡々とした中に優しさの篭った声が。
その瞬間――――
「!」
ライアーのフィレーシアンが、受け止められた。
誰に、かは解らない。
突然見えない壁が出来たように、受け止められる。
「全く・・・お前達全員ティアに言われた事を思い出せ」
そんな中、1人の少女の声が響いた。
銀髪を後ろで1本の三つ編みにし、花弁のような形のスカートのノースリーブワンピースを纏った少女。
透き通るほどに白い肌に映える茜色の瞳が、ナツ達を鋭く睨んでいる。
「ヴィーテルシア?」
「いいから黙って全員冷静になれ・・・お前達はティアがいなければ冷静にさえなれないのか」
冷静に――――――。
それはティアの口癖だった。
冷静になれない人間は敵じゃない。冷静さを欠いたら即刻負け。
ヴィーテルシアは、誰よりもその言葉を近くで聞いていた。
だから、行動出来る。
「ティアの意志を語る前に、お前達にはするべき事があるだろう!騒いで何が変わるというんだ!お前達は一体ティアの何を見てきた!?何を聞いてきた!?」
厳しい口調に、先ほどまでとは違う意味で静寂が訪れる。
ナツの怒りとも、ライアーの怒りとも違う怒り。
ヴィーテルシアは茜色の瞳に炎を宿した。
「確かに私もティアを追いたいと思っている。それをティアが望んでいようが望んでいなかろうが関係ない」
ヴィーテルシアは、答えを出した。
実に単純で、純粋で、考える必要なんてこれっぽっちもない答えを。
「ティアが自分の意志で戦う事を選んだのなら、私は自分の
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