それが彼女の願い通りじゃないとしても
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を鋭い言葉の刃へと変え、ライアーは四方八方に飛ばす。
つり気味の目を更につり上げ、その表情を怒りに染めて。
「アイツだって、本当はお前達の力を借りたいんだ!それでも・・・それでも借りる訳にはいかなかったんだよ!カトレーンの裏側を知られたくないからじゃない・・・そんなの、単なる後付の理由だ」
痛いほどに握りしめた拳が震える。
「アイツは“ティア=T=カトレーン”でいたかったんだ!出来損ないだの三流だのじゃなく、このギルドの中では、最強の女問題児で海の閃光で氷の女王で妖精の尻尾の魔導士のティアのままでいたかったんだ!だけど、お前達が戦いに参戦したら、ティアが隠し通してきたものをお前達が知る事になる!それだけは耐えられなかったんだよ!」
声が響いて、静寂に吸い込まれる。
感情が高ぶっているからかその頬は赤く染まった。
「だから態々手紙を残した!お前達が追ってこないようにと、手紙を枷にした!行く先を知らせる事になるが、可能性として主がカトレーンの家の場所をドラグニル達に教えてしまう恐れもある!2つに1つ、どちらにしろ追われるなら、追わないでほしいという自分の意志を伝えてしまおうと考えたんだ・・・」
声のトーンが落ちる。
小さく俯いた顔が、上がった。
その表情は辛そうで、今にも泣きだしそうに歪んでいた。
「お前は・・・ティアの意志を踏みにじるのか?」
再び、静寂が姿を現す。
ナツとライアー。
この2人は、それぞれティアに近い2人だ。
ナツはチームメイトであり、戦友。
ライアーは同居人であり、ティアに片思いしている。
そんな2人が、今、同じ空間の中で、確かに別の道を行こうとしていた。
「意志とか、そーゆーの解んねえけど・・・アイツが1人で戦っていい理由じゃねえし、オレ達がアイツを放っておいていい理由でもねえだろ」
「放っておいてほしいとティアが望んでいてもか」
ライアーの瞳が鈍く光った。
その右手が、ゆっくりと背中に伸びる。
「これはカトレーンの問題じゃねえ。もうギルドの問題になってんだ。一族とかそういうの関係なく、仲間を三流だとか出来損ないだとかいうあの女を許せる訳ねえだろうが!」
ナツには戦う意志がある。
仲間をバカにされて黙っていられる程、利口になった覚えはない。
ナツがライアーを睨みつけた、瞬間――――――
「そうか・・・残念だ」
ライアーが小さく呟いた。
「!」
ナツは思わず1歩下がった。
何故なら、ナツの首にはフィレーシアンの切っ先が向けられていたのだから――――――。
「お前の仲間を思う気持ちには称賛を送ろう・・・だが、その思いが常にいい方向に向
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