アリシゼーション編
episode2 そしてまた彼の世界へ3
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の記憶を取り戻させる。まるで御伽噺の『運命の再開』じゃないかと笑いたくなるが、呼白さんの研究と予測によればそれは決してありえないわけではないのだそうだ。
―――君が彼女の「フラクトライト」を見分けられるか……そして彼女のフラクトライトを君が再生させられるか……あるいは君のフラクトライトがこの世界と同様に作用していくか……実験のデータとしてはなかなか有益だ……
滔々と語られる話はやはり難しく、俺にはいまいち理解できない。
だが、理屈面の話はもう、どうでもよかった。
俺が分かっておくべきなのは、簡単。
俺は今から、記憶も何もないガキとなって、異世界へと旅立つ。そこで俺は同じように(と言ってもこちらはブロックされているわけではないので、俺の様に完全に記憶喪失、ってわけじゃないのだが)記憶の無いソラを見つけ出す。
(要は、「お姫様を探せ」ってわけだ)
任せろ、と心の中で笑う。
顔が違っても、声が違っても、記憶が無くても。
ソラを見分けることだけは、出来る。
勇者でもヒーローでもない、そんな振る舞いができる自信なんて全くない。
けれどもそれでも、ソラを見分けることだけは、俺は絶対の自信を以て胸を張れた。
◆
そして、彼は知らない。
「ウィルスチェック、完了ですー!」
「……ご苦労だったね……さすがに……仕事が早い……」
「申し訳ありません。しかし……」
「ああ……皆まで言う必要はないよ……玄路さんが許したなら……是非もない……」
アンダーワールドへと赴くのが、「彼一人」でないことに。
「……従者として、最大限のことをしたいのです」
「牡丹ちゃんは真面目ですねー。でもその気持ちは私も分かるですよー」
「ふむ……僕も……興味があるね……」
牡丹の手に握られた、今のご時世にはかなり大きな、そんな記憶媒体。
「ありがとうございます。……では」
それが、彼の旅立ったアンダーワールドの世界へと、かちりと音を立てて接続された。
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