アリシゼーション編
episode2 そしてまた彼の世界へ3
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「悪いね……あまり広い場所は確保できなくてね……」
「いえ、十分です。ていうかこれで広くないんですか」
「ここで君が……長時間ダイブするためのモニター機器を搬入する……全部入れてしまえば……かなりスペースは限られるだろうね……君もあの蒼夜姉さんの病院に入院したことがあるなら……身に覚えはあるんじゃないかな……」
「ああ、そういえばかなりコードとチューブだらけでしたね」
呼白さんの、相変わらず隣にいても霧の向こうから聞こえるような声に、俺は適当に相槌を打ちながらソレ……ソウルトランスレーター、STLなる機械を眺めていた。それはひどく無骨で、コードも配線板もさらけ出されており、俺の素人目戦でも「試作機」とはっきりわかるものだった。……不安でないわけではないが、まあ、仕方ない。
訪れた部屋は、呼白さんの謙遜に反して高校の教室ほどものひろさがあったが、これからここに心電図やモニター類といった……いわゆる俺が「SAO帰還後の入院中にお世話になったセット」が運び込まれてくるらしい。聞けばあの時は俺はちぃっとばかし当時にしては違法な薬とか入れられてたそうで、その分各々の医療機器で慎重に経過観察されていたそうだ。
……と、いうことは。
「別にこれを聞いたからって俺がやることに変わりはないですけど、……この機械って、メデュキュボイドみたいなその辺の医療的な機能ってついてないんですか?」
「ああ……ついてないね……もっとも本プロジェクトのほうに渡した……新しい「試作機」のほうには……ある程度ついていると思うけど……この「試作機の試作機」……動作確認用のコレには……まったくついていないね……」
そこにどういう意味があるのかはわからないが、呼白さんは口元だけでにやりと笑った。逆に俺は顔を顰めるのだが。別に命の保証がほしいわけじゃないが、それでも「安全を考えてますよー」アピールくらいはしてほしいものだ。……緊急事態だ、と言われればそれまでだが。
ただ、一つだけは確認しておく。
「ソラのほうは、ちゃんとそのあたりのモニターは管理されてるんですか?」
「ああ……もちろん……彼女は対外的には……蒼夜姉さんの病院で「新しく購入したメデュキュボイドの試験患者」という扱いになって入院しているはずだ……ある程度の実験の結果は出たから……僕は満足だけれど……蒼夜姉さんはそうじゃないだろうからね……心配かい?」
「ええ、勿論。アイツはもともと危なっかしいところがあるやつなんで」
ソラの、安全だけは。
呼白さんは、その言葉にまた意味深に笑う。が、今度は説明付きだった。
「『あいつ』か……羨ましいね……僕にはそんな風に親しく呼べる友人は……対等に向き合えるような人はいない……僕だけじゃない……玄路兄さん
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