#1『メイ』
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の王女と、赤髪の魔法剣士が描かれたステンドグラスだ。
「彼女は神の意志に反した者だ。彼女の手によって、神は決定を変えた。たった一人だけ生き残るはずだった《教皇》の他にも、多くの人間が生き残った。だが、《教会》はその決定を快く思わない。せめてものと、新たな世界でも支配を開始した。それが今でも《教会》が世界を支配している理由」
そして、と彼は続ける。
「それがひとつ前の、僕達の物語。メイがこの世界を救った存在だったころの物語」
「ひとつ前の物語……ってことは、その前にもあったってこと?」
「察しがいいね。その通りだ」
《魔王》はまた笑う。
「《僕達》の役割は、神の決定を捻じ曲げることだ。世界の更新を止めさせたり、延期させたり、その結果を変えさせたり。いわば、世界の運命を変えるんだよ。その役割を背負った《真名》をもった存在達が、延々と転生を続ける」
そして、と、《魔王》は、初めて見る真面目な表情を取った。漂っていた子どもっぽい雰囲気は身をひそめ、そこにあったのは名の通りの『王』だった。ドキ、と胸が高鳴る。ああ、私はこの表情を、いつも頼りにしていたのだ――――と、メイはなぜか納得した。
「来たる二年後――――世界が再び崩壊する。僕達の目的はただひとつ。その神をかくまう《教会》を討伐し、神を殺し、神座を奪い取る。そして世界の崩壊をやめろ、と、その神すらも支配する《本物の神》に訴えるんだ。一周前のメイがそうした様に」
《魔王》のいう事をメイが理解するのに、たっぷり数秒を費やしてしまった。その意味を完璧に理解するとともに、メイの顔から血の気が引く。
「それって……反逆っていう事?あなた達がやろうとしていることは、レジスタンス活動……?だ、駄目よ!明確な反逆活動は死罪だわ!失敗したら……」
「失敗?メイなのに弱気だな。するわけがないじゃないか」
そう、《魔王》は自信満々に答えた。
「今僕たちには、過去にないほど最高峰の布陣が揃っている。《僕達》にかかわりがあったほぼすべての人達が再びこの時代に転生してきている。リビーラも、ククリも、シュートも。そして、まだ仲間に加わってはいない何人かも。もちろん、敵として戦った人も、ね……」
そこでちょっと苦々しい表情を取る《魔王》だが、すぐに自慢げな表情に戻る。
「そして何より、君だ。僕の《妃》になる《姫君》が、やっと僕たちのもとに加わった。これで、全ての準備は整った―――――近々僕たち『《魔王》のレギオン』は、《教会》に反旗を翻す最初の反逆を起こす」
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