#1『メイ』
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こって、支配者たる種族たちは大いに栄える。だが、神はそれを許さない。定期的に何らかの事象を起こして、世界を破壊し、更新するんだ」
なんどもなんども、ね。と、《魔王》は言う。それが『世界が生まれ変わっている』、という事なのだろうか。
「遥か太古に栄えていた恐竜や、幻の大陸の精神生命体。ほかにも腐るほどの数の頂点生命が、神の御業によって駆逐されてきた。だが……人間は、違う。人間は今まで、世界の更新を四度経験している」
「四度!?」
思わず息をのむ。
世界の更新、という事は、全てがまっさらに戻ってしまうという事だ。発達した文明は消滅し、新たな文明が栄えるようになる。概して、そう言う事象は回避しがたい。
それを、人間は四度も経験しているというのか。
「一回目は、人類が誕生したすぐ後のこと。誕生した新たな生命に、大地が拒否反応を出したという。二回目は、世界共通の事象――――同時多発した大津波だ。三回目は千年ほど前の、直接的な世界更新。そして四回目が、三百年前の《ラグ・ナレク》」
《ラグ・ナレク》についてはメイも良く知っている。世界が文字通り崩壊し、そのせいで人類は《箱舟》に逃れたのだ。大地とのつながりが大切だった魔術は多くが失われ、刻印魔術に頼ることになった。
だが、それ以外は聞き覚えがない。そもそも――――
「どうして、人間は生き残れたの? 一斉淘汰なんでしょう?」
「その通り……だけど、人間は最初に誕生したその時に起こった奇妙な出来事によって、神から興味をもたれたんだよ」
「……大地の拒絶反応?」
《魔王》は確か、ついさっきそう言ったはずだ。メイの反応に、彼はいかにも満足だ、と言った風の笑みを浮かべる。何度目だろうか、この表情。
「正解だよ。今まで、誕生した生命体を大地が拒否するなんてことはなかった。楽園から追放され、さらにそこから未開の地、《異郷》へと人類が旅立った時、大地は天災をもって彼らを追い払おうとした。これが、世界を管理している《神》の興味に触れたらしい。以来、人間はその多くが滅ぼされても、必ず誰かが生き残っている。それは最初の人類の直系の子孫でもあるし、世界の王でもあるし、唯一善良だった男でもあった」
《ラグ・ナレク》もそうだ、と《魔王》は言う。
「あれはね。たった一人の人間が引き起こしたんだよ」
「え……?」
「詳しい話はまた今度しよう。とにかく、その時生き残ることになったのは、当時世界を支配していた存在――――《教会》の《教皇》だった。だが、その神の決定に謀反を起こすものが出る」
それが――――『彼女』だよ、と、《魔王》は、ひとつ前のステンドグラスを指さした。黄金の神
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