暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep29それは少し前の出来事〜Return〜
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。あの小さき強者も居た。私が最初に得たのは混乱。何故、私は再び身体を得たのか。次に感謝。再び私というものを確かな存在にしてくれたことへの、だ。

マスターの説明を聞く。今は私が消えてから十数年後の世界であること。そこで知った。ルシリオンという存在の正体を。だが実際どうでもよかった。主はやてや我ら守護騎士たちの恩人の1人に違いはないのだから。しかしルシリオンは何も憶えていなかった。自分の真の名すらもだ。

理由はハッキリしているが、それに対してマスターを問い詰める気はない。ルシリオンには悪いが、私はマスターに大きな恩が出来たのだから。
それから、これからどうするのかという話になった。マスターの目的は、管理局の改革と小さな復讐。その改革に私は乗った。主はやて達にも起こりうる可能性を完全に否定できずにいたのだから。主はやて達が、信じてきた管理局に裏切られ謀殺される。そんな未来だけは許せなかった。

そして私とルシリオンはパートナーとなった。融合騎としての能力すらも再現されていたことにも驚いたが、ルシリオンとのユニゾンがあっさり出来たことにも驚いた。その時だった。私とルシリオンに繋がりが生まれたのは。だからこそのパートナー。
それから2人してよく行動するようになった。だが、主はやてとその御友人たち、守護騎士たちと戦うことになった今、私は・・・。

「ママ〜〜〜〜〜ッ!!」

人ごみの中、小さな子供の泣き声を耳にした。私はその泣き声のする方へと駆ける。後ろからルシリオンが「待てっ!」と止めてくるが、私はそれを無視して探す。私は、嫌なんだ。小さな子供の泣き顔というものが。その当時の主はやてのことを思い出してしまう。
辿り着いた先には案の定、小さな女の子が泣いていた。ママ、ということから、母親とはぐれた迷子なのだろう。道行く人も声を掛けようとするが、その少女の人の話を聞かない程の泣き声に諦めて通り過ぎていく。

「(その程度のことで諦めるな、馬鹿者ども・・・!)どうした? 母親とはぐれたのか?」

私は少女に歩み寄って、しゃがみ込んで視線を合わしそう尋ねる。しかし少女は泣き喚くばかりで、会話になりそうもない。だが私はそれで諦めるつもりはない。この少女の泣き顔を笑顔にしたいのだから。

「待て、と言っているのに。君はアレか? 主人の言うことを聞かない犬か何かか?」

かなり失礼なことを言いながらルシリオンが追い付いてきた。

「私はお前のパートナーになったのであって、ペットになったつもりはない」

ルシリオンに振り向いて、怒り半分呆れ半分でそう返すと、ルシリオンは「冗談だ」と言った。ルシリオンが冗談を言うなど初めてだったこともあり、少し呆けてしまった。するとルシリオンはそんな私に小首を傾げ、それから少女へと視線を移した。

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