モノローグ - monologue -
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みを募らせる。
我が願いは、竜の世の平穏、安寧。人が竜を襲うのは、弱き者の怯えからくる自己防衛であろう?
人が竜の牙に勝る盾を手に入れたならば、竜の影に慄くこともなく平和な世を築けよう。竜も、その領域を侵されぬ限り人に牙を剥けることもあるまい。
我は、これ以上愛しき眷属が人の手に堕とさるるのを見ていられぬ。
ただ、それだけであるのだ」
「……あなたは、本当に天つ龍…天の龍だとおっしゃるのか。……申し訳ないが、私は根っからのサイエンティストでね、証明されていないものを信じる気には、なれないのですよ」
「―――さよう、それも道理。
ならば視せよう、我が姿を………ひかりを」
言葉を言い終わるか否か。
彼の身の内側から光が弾けた。その肩につく白髪が光の奔流に踊り、私は渦巻く白に身を呑まれる。
―――何かが、入ってくる……!
―――私の中を探っているのか……?
「あああああ!!」
知らず叫び声をあげ、頭に侵食してくるモノに抗おうとした……無駄だと分かっていても。
奔流はやがて静寂へと姿を変え、ただ視界を満たす白い闇は細長く寄り集まってひとつの形を成す。すっと開いたふたつの紅い灯が、私の目を射抜いた。
それは、遥かなるいにしえより時を隔てて、顕れた。聖なるひかりをたずさえた、ただひとつの。
“原始の龍”―――!!
「あアァ……ァ、アアア……!!」
それは歓びか、嘆きか。慟哭か、狂喜か。
顔が歪む。涙は頬に伝い、伸ばした手は、虚空を掴んだ。
「天龍様……!」
やっとお会いできた、私達の祖。親であり、神であり、ひかりであり、破壊の本能。
私はこの方にお逢いするために、生を受けたのだ……!
―――蛾を捕らえた灯火の口許の弧は、角度を変えることはなかった。
…
――…
――――…
――――――…
―――偽りの光は生贄を得た。
主が愛し、主を殺めた、哀れなる主に生き写しの複製共。
恐れるがいい。
慄くがいい。
せいぜい身を震わせて、我の下す<天譴>を受け入れよ。
我がかつて愛した世に<ひかり>は亡く、地を這い空飛び謳歌するは醜き眷属。
哭くがいい。
啼き叫ぶがいい。
恐るるな。
痛みはいづれ、法悦へ変わるだろう。法悦はいづれ、無へと回帰するだろう。
我、<あわい>超え天津光をもちて、
汝を英霊の葬列に加えん―――
――――――…
――――…
――…
…
...ガタン、ガタン......ガタタン...ガタン......
不規則に揺れる室内。暗い部屋の中で、人影が動いた。
ひ
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