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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
 モノローグ - monologue -
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「研究を見られたぞ、殺すべきか」

 研究員が水を打ったような静寂から一変、椅子を蹴って立ち上がり、場は百家争鳴の騒がしさとなる。

「…ドクター。この男、どうしますか」
「どうにかするしかないだろう。まったく…このタイミングで来るとは、面倒な」

 かく言う私も、このでたらめな男をどう処理するかを迷っていた。
 殺しは、極力行わない方がよい。男の家族や友人が捜査願いを出したら警備兵に足を付かれる可能性が高いからだ。
 良くも悪くも目を引く容姿の男、ここへ降りる前に誰かに見られたのはほぼ間違い無いだろう。何せ、ここは街にほど近い場所である。見つからない自信が無いわけではないが、危険は回避するに越したことはあるまい。

(……しかし、この男の口を塞ぐ方法など、この場に存在するのだろうか。)

 彼は、目の前で自身の命をどうとか言われているにもかかわらず、微動だにせずその場で佇んでいた。そこに恐れや懐疑はない。あるのは、嘲りの光のみ。
 あざけり! 奴は命がかかっているというのに、まるで道端に転がっているゴミを見るかのように私達を見下ろしているというのだ!

「反逆者の末裔よ。そなたは民を救いたいのでは無いか? この国のみと言わず、世界中の弱きものたちを、その手で守りたいのではないのか?」
「……何が言いたい?」
「我が願いとそなたの願いの到達する点は、同じにある。我が力を貸そう。そなたはただ、自分の思うままに研究を続ければよい」

 そういって男がこちらに投げてよこしたのは、赤い液体が入った細い瓶だった。
 蓋を開けるとわずかに香る、この液体は、血だ。まだ明るい色だから、採血してから時間は開いていない。
 職業柄すぐ成分を検査するよう指示すると、再び私は男に向き直った。
 この不可思議を具現化したような男の正体が、計り知れなかった。たとえるなら、この男は不気味さと美しさを併せ持つ火山の月であった。どちらにもどうしようもなく魅かれ、手を伸ばし、ついには足を踏み外して火口へと身を沈めるのだろう。
 そんな恐怖すらも今の私には私自身を魅了する1つの要素に過ぎなかった。

「あなたの願い、とは?」

 知らず丁寧な口調になりながら、私は尋ねた。男の口角が言葉を発す以外で初めて歪み、緩やかに、妖しく、弧を描く。
 私は、さながら蜘蛛に捕らえられた蝶……いや、そんなうつくしいものではない。夏の灯火に自ら身を躍らせる蛾のような存在なのだろう。そう、私は炎つかさどりし竜に惹かれてこの身を焼き尽くさんとする、愚かな卑しき蛾であるのだ。

それでもかまわない。その火の中に、私の求めんとするモノがあるならば。

「我は天つ龍。世の竜たちも皆、我が眷属に或る。
 竜は人を狩り、人は竜を狩り、そして互いに互いの憎し
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