暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep28女帝の洗礼〜Emperatriz Bautismo〜
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されるまで、オラシオン・ハルディンの砲を使う方が良いかと思いますが?』

「どういうことです?」

心臓付近に手を添えて、深呼吸を繰り返す彼女は聞き返す。

『お解かりなはずです。戦況は芳しくありません。アギラス3隊の内、カプリコルニオが全滅。残りの2隊も半壊状態。レジスタンスに関しても被害は深刻です。幹部たちに関しても、特務六課の連中に苦戦を強いられています。ならば、オラシオン・ハルディンの防衛システムで時間稼ぎを行う方が効率的、かつ確実です』

ハーデにもそれくらいのことは理解していた。このままでは押し切られる可能性があることくらい。そして、自分自身やディアマンテが出撃すれば、まだ押し返すことくらい簡単なことも理解している。しかし今は出られない。何故ならサフィーロことルシリオンを縛っている制限を2段階も解いているからだ。

(私が直接出られれば・・・。ですが・・・)

ルシリオンの“力”を喰らっているからこそ、今もこうして生きていられる。その“力”を少しとはいえ返した。その状態で自ら戦線に出れば、どういう異常が身体に出るか判らない。
それ以前に今こうしているだけでも、辛そうな表情を浮かべている。無論それは見えない。フードの中に隠れているのだから。それに、彼女はまだハッキリと表舞台に出たくなかった。いや、目的が果たされた後であっても出たくはなかった。
彼女は思案する。そして結論を出し、ディアマンテに命じた。

「アギラス及びレジスタンスに後退命令。オラシオン・ハルディンの防衛システムを始動。各幹部に、各部隊の後退援護を。ですが、防衛システムはあくまで牽制砲撃としなさい。決して当ててはいけません。いいですね、ディアマンテ」

『了解しました。砲撃による防衛線を築きます』

通信が切れる。彼女は自らの胸、日に日に鼓動が弱くなっていく心臓付近に手を添えて、鼓動する自分の命を感じる。

(日常生活にすら支障が出てきましたね。戦闘になればどうなるか・・・)

最強の戦力を持ちながら最弱の身体。情けない、と彼女はひとり自嘲した。

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