第七話:復讐の緋眼
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れない」
俺たちの姿を見るなり手を引いて先導してくれる。
やっと安心をした。そのとき、シガンシナ区の方からとても大きい足音がだいぶ近くから聞こえる。ふと、そちらを見ると、俺は目を見開いた。何故なら15m程の巨人が駐屯兵団の使う兵器を当たっても倒れることはなく一直線にこちらへ向かって来ていたからだ。
早く逃げなければそう思いフローラを背負おうと手を伸ばした瞬間。
グシャァアァアア
目の前に通り過ぎる巨人の足。次いで赤い液体が飛び散る。フローラの方を見てもそこにはフローラは居ない。
どうして?何故そこにフローラがいない?何故俺は宙に浮いているんだ?この血は誰の血なんだ?
そこまで考えたとき。俺は地面に叩きつけられた。背中に痛みを感じつつ辺りを見渡した。数m離れたところに赤い血溜まりが見えた。赤い血から覗く黒髪で少し茶髪が入ったような髪。扉を壊した巨人がシガンシナ区の方へ帰って行くのも目に入らず、ただ、ただ、ゆっくりとそこへ足を運んでいた。
そして、そこへ辿り着くと、その場にへたり込んだ。さっきまで生きていた筈のフローラがそこに倒れている。生きようと誓ったフローラが血を流してピクリとも動かない。手に触れると最初こそ暖かいもののだんだんと冷たくなってくる。その体に片足、片手はない。ぼうっとしてそれを見ていると足元に何かが転がってきた。それを見たとき、俺はどれだけ叫んだのだろう。どれだけ泣いたのだろう。どれだけ今までの思い出を思い出しただろう。
それは、フローラに三年ほどまえに、俺が街で買ってやった中央に小さな水晶が煌めくペンダントだった。
今までにない位に泣き叫んだ。どれくらい時間が経ったのだろうか俺が落ち着いた頃、さっきまで感じていた巨人への恐怖など消え失せていた。そして、俺の中に残った感情はこれ以上ないほどの巨人への殺意だった。
ようやく駐屯兵団が来た頃、俺は、涙を流してただ無感情に虚空を見ていたという。そして、その目は真っ赤な血の色、赤色をしていた。
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