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戦国異伝
第百五十七話 延暦寺その十四
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 信長は家臣達にその通りだと話す。
「今は仕方がない」
「では戦の後で」
 平手が信長に言って来た。
「あらためてですな」
「うむ、特に帝にはな」
 信長は義昭ではなく帝を第一に置いて答えた。
「そうするぞ」
「畏まりました」
「その様にする。しかしじゃ」
「しかしとは」
「うむ、戦が続いておる」
 信長はここで周りを見た。堂も塔も焼け落ち木も殆ど残っていない。倒れている僧兵達の骸も無残に焼け焦げている。
 そしてだ、織田の将兵達はというと。
「皆疲れておるな」
「いえ、ご安心下さい」
「我等のことは」
 すぐにこうした返事が来た。
「戦が終わるまで大丈夫です」
「力はあります」
「ですから殿はお気になさらぬよう」
「我等のことは」
「左様か」
 信長は彼等のその顔を見て言った。
「そう言ってくれるか」
「はい、ですから」
「その言葉甘えさせてもらう」913
 こう言ってだった、信長は全軍に指示を出してだった。
 都から摂津に向かう、そしてその途中都で帝、将軍である義昭に謁見するのだった。戦の最中でのことであるが。


第百五十七話   完


                             2013・10・25
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