第四話 第二の怪人その七
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そのうえでだ、薊が智和に顔を戻して言った。
「あのさ、先輩って本当にさ」
「お金持ちって言うのはなしだよ」
「じゃあいいよ」
言おうとした言葉を防がれてこう言ったのだった、それでだった。
メイドが部屋を後にしてから三人で紅茶とケーキを食べながらだった、そのうえで。
智和は二人にだ、日常の話をはじめたのだった。それは薊についてだった。
「天枢さんはバイクも乗るんだったね」
「ああ、オフロードな」
それに乗っているとだ、薊はそのミルクティーを飲みつつ答えた。
「高校に入って十六になってからはじめたんだよ」
「成程ね」
「うちの高校バイク通学もいいんだよな」
「寮にも置けるよ」
それもいいというのだ。
「許可を貰えればね」
「それはまた自由だな」
「うん、そうした校風だからね」
「そうか、じゃあ孤児院からバイク送ってもらうか」
「孤児院でも乗っていたんだ」
「ああ、普通の道でもオフロードを乗ってるんだよ」
薊は智和にこのことも話した。
「ただ、こっちに越してくる時にバイクは無理だと思ってさ」
「持って来なかったんだね」
「大学に入った時か就職の時に院長先生に送ってもらおうと思ってたんだよ」
そう考えていたというのだ。
「けれどさ」
「今はだね」
「ああ、そうだよ」
横須賀にその愛車を置いているというのだ。
「今は」
「そうなんだ」
「けれどな、許可を得たら乗れるんならな」
「部活もモトクロス部だからだね」
「ああ、持って来てもらうよ」
そのバイクをだというのだ。
「そうしてもらうよ」
「それがいいと思うよ」
「そうだよな、じゃあな」
「ただ。バイクってね」
裕香は銀色のフォークでチョコレートケーキを食べつつ薊に尋ねた。
「冬とか寒くない?」
「ああ、結構な」
「そうよね。それがね」
心配だというのだ、裕香にしては。
「薊ちゃん風邪とかは」
「いや、あたし馬鹿だからさ」
「それで風邪ひかないっていうの?」
「ああ、身体は丈夫だしな」
笑ってこう言う薊だった。
「いつも鍛えてるからな」
「だからなのね」
「それに冬に乗る時はスーツだしな」
「ライダースーツね」
「制服の時代もセーターとか着込むし」
そうして身体を冷やさない様にしているというのだ。
「流石に横須賀とか冬でバイクは辛いからな」
「神戸もそうよ」
「風強いからな、港町は」
「ああ、だからだよ」
まさにそれでだというのだ。
「冬はそうしてるよ」
「そうなのね。そこは考えてるのね」
「あたしにしてもな」
「とにかくバイクはね」
智和がまた話してきた。
「うちの学校でもいいから」
「そうだよな、それじゃあな」
薊は八条学園でもバイクを楽しめること
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